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徳江陽子 杉谷昭子 フォーシーズンズ 椿山荘 若林正人 内藤克洋 高千穂ひづる 徳江陽子 杉谷昭子 フォーシーズンズ 椿山荘 若林正人 内藤克洋 高千穂ひづる
■平成17年11月23日  ふたつのピアノ・コンサート


1. 2005年11月15日(火)19:00 開演 於:紀尾井ホール
   〜徳江陽子ピアノ・リサイタル(演奏活動40周年記念)〜

◎Program

 第1部
  ・モーツァルト  :ピアノ・ソナタ イ長調 KV.331 (トルコ行進曲付き)
  ・ベートーヴェン :ピアノ・ソナタ 嬰ハ短調「月光」 Op. 27-2
  ・メンデルスゾーン:無言歌より
     「春の歌」 Op.62-6
     「五月のそよ風」 Op.62-1
     「紡ぎ歌」 Op.67-4
  ・メンデルスゾーン:ロンド・カプリチオーソ Op.14

 第2部
  ・一柳 慧    :独奏ピアノのための「限りなき湧水」
  ・リスト     :2つの伝説より「波を渡るパウロの聖フランシス」
  ・ショパン    :2つのノクターン 変ホ長調 Op. 9の2と遺作
  ・ショパン    :アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ Op. 22

 アンコール
  ・平井康三郎   :さくら幻想曲
  ・ベートーベン  :エリーゼのために
 

2. 2005年11月17日(木)18:30 開演
        於:フォーシーズンズ・ホテル椿山荘 東京 3F ロビー・ラウンジ
   〜杉谷昭子 ピアノ コンサート イン フォーシーズンズホテル〜

◎Program

 1. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 嬰ハ短調「月光」Op. 27-2
 2. シューマン  :「子供の情景」
 3. ショパン   :“戦場のピアニスト”より
    ノクターン 第20番 嬰ハ短調 遺作
    バラード 第1番 ト短調 Op. 23
    ワルツ 変ニ長調 Op. 64-1
    エチュード ハ短調「革命」 Op.10-12
 4. カルディッロ :カタリ・カタリ(杉谷昭子編曲)
 5. デ・ファリャ :組曲「恋は魔術師」より「火祭りの踊り」

 アンコール
   シューマン  :トロイメライ
   

 あいだ一日を挟んで,ふたつのピアノ・コンサートを鑑賞して来ました。
 期せずして同じキャッチ・フレーズ「秋の夜のひとときを,お楽しみ下さい」の文字が,各々のプログラム上で躍っていました。
 両者とも,比較的肩の凝らないピアノ名曲アルバム的選曲で,それぞれのファン層と会場とを考えたプログラム構成になっていたのが,大変特徴的でした。また,同じ曲目が並んでいたことにも,更にアンコールの選曲についても,実に面白く感じました。

 1の紀尾井ホールでは,クラシックのコンサートには珍しく司会者付きで,エッセイスト・放送タレントの若林正人氏が,独特のユーモラスな話術とパフォーマンスで,ピアノ演奏会であると言うギリギリの所で観客を沸かせていました。
 因みに,使用したピアノは,スタインウェイ・タイプEのフル・コンサート,極めてスタンダードな楽器です。

 一方「椿山荘」は,完全なサロン・コンサート形式で,杉谷氏自身の解説入りの,ゴージャスなロケーションの中での,シックなプレゼンテーションと映りました。
 使用楽器は,かのクララ・シューマンが使っていた「グロトリアン・スタインヴェークのフル・コンサート・グランド」。野次馬根性マルダシで,関係者の眼を盗み手で触れてみましたが,全体的にロココ調の黒い彫刻が華麗で鮮やか,そして重量感のある美しいピアノでした。
 鍵盤は思ったよりも軽く,ややバランスが一定でない所が,この種の楽器の一つの特徴かも知れません。音量も,現代のスタインウェイやベーゼンドルファーの様な力強さはないものの,中音域から加線3本位の所までの音色には,「甘さ」と「ロマン」と「華麗」さをミックスした様な,郷愁を覚えるものがあり,会場でサーヴィスされたシャンパンと良いアンサンブルを醸し出し,主催者「ル・ジャルダン」の計算がズバリといった趣でした。ただし低音域と高音域,そして全体の音色のバランスは,前々日の響きが耳に残っていたせいか,ピアニストとしての御苦労の度合いが非常によく理解できた様に思いました。

 さて,徳江陽子氏は桐朋学園,パリ国立高等音楽院卒業後,海外・国内での演奏活動に入られ,今日では,エイズ禍救済のためのチャリティ・コンサートなどがそのメイン・ステージだそうです。
 当日のプログラムに,フランスものが入っていなかったのが残念でした。ただ「限りなき湧水」の作曲者・一柳慧氏が,夫人を亡くされ,ご自身も体調不順のなか,中ステージ上で挨拶と曲の解説をされていたのが,非常に印象に残りました。

 杉谷昭子氏の方は,東京芸大卒業後ドイツに留学(現在もデュッセルドルフに練習所所有),ドイツを中心に各種国際コンクールに優勝・入賞,国際的に活躍されています。
 ライフ・ワークにされているベートーヴェン,若い頃に熱中されていたショパン等々,堂々たる風格を感じさせていました。
 2001年に,ウィーン楽友協会大ホールで「熱情」を弾かれた時,たまたま私も同席することが出来ましたが,その頃よりも円熟した内容表現が豊かに響いていたのも,秋の夜の一つの収穫でした。

 ショパンの作品は,古今の名ピアニスト達の音盤でも,人が変われば音楽も変わると言われていますが,このふたつのピアノ・コンサートでも全く同様で,ここに音楽芸術の“素晴らしさ”と“難しさ”を堪能できたことを,関係された方がたに深く感謝申し上げます。

<蛇足>
 杉谷氏のコンサート会場で珍しく,ほんとうに珍しく,全音に勤務していた頃の大先輩で,音楽誌「ショパン」の代表取締役をされている,内藤克洋社長にお目に掛かり,同じ業界の人間同士として旧交を暖めることが出来たのも,この夜のハイライトの一つでした。
 また「紀尾井」では,往年の大時代劇スター・高千穂ひづる氏が,花束渡しのパフォーマンスに姿を見せ,年齢を感じさせない若々しさと華やかさで,歓声と嘆息を浴びていました!


紀尾井ホール フォーシーズンズホテル椿山荘東京   
南国の夜 小さな竹の橋 珊瑚礁の彼方 山口軍一 早津敏彦 山口銀次 ルアナ・ハワイアンズ 珊瑚礁の彼方 山口軍一 早津敏彦 山口銀次 ルアナ・ハワイアンズ

徳江陽子 杉谷昭子 フォーシーズンズ 椿山荘 若林正人 内藤克洋 高千穂ひづる 徳江陽子 杉谷昭子 フォーシーズンズ 椿山荘 若林正人 内藤克洋 高千穂ひづる
■平成17年11月9日  日本体操祭 2005


 この10月29・30日(土・日曜)の両日,国立代々木競技場第一体育館で開催された,日本体操祭2005に参加致しました。

 この体操祭は「全国の体操愛好者たちが集う,最大級のイヴェント」(日本体操協会:二木英徳会長)で,「生涯スポーツの象徴とも言える一般体操は,発表を目的とはせず,健康の維持増進と,人々と交流する喜びを第一の目的として,数多くの人々に実施されている運動」(一般体操委員会:荒木達雄委員長)です。延べ七,八千名が参加する大きな大会です。

 私も,体操音楽を手掛けた当初の頃(約27年前)から,毎年の様にこの大会を参観しております。
 本年度の大会でも,「みんなで体操2005」のコーナーで発表された,同名の体操用音楽作品を発表させて頂きました。音楽のテーマは,幅広い年代の誰でもが,動き易くかつ親しみ易いものと言うことで,モチーフとテンポを沖縄民謡に求めて構成致しました。出来るだけ短くと言う希望もあり,3分強の作品と致しました。

 体操界の大御所である,濱田靖一日大名誉教授も,ご自身の指導されたグループの「ふれあい体操」を発表されるとの事で,第1日目に出席されましたが,使用された曲が何と1981(昭和56)年の第19回全国高等学校総合体育大会(高校総体)神奈川大会の開会式に使用した,私の編曲・録音した「城ヶ島の雨」と「箱根八里」でした。2曲とも神奈川県ゆかりの名曲ゆえ,同大会のシンボル・テーマに活用されました。今回その両曲をうまく規定演技時間に再編して,見事な集団演技に構成されていました。
 演技代表の松本恭子氏に,「よく音源が入手出来ましたね?」と尋ねたところ,「濱田先生が提供して下さいました!」との事。ついでに参加メンバー全員と記念写真まで相伴させて頂きました。大半が電子楽器による,現代的なリズム感に溢れた当日の作品群の中で,アコースティックなゆったりとした「日本の抒情歌」の演技が開始された瞬間,ロイヤル・ボックスに同席していた韓国やタイの代表たちの間から,異文化に対する感嘆の息づかいが発せられました。純粋なもののエキスの強味でしょうか。時空を超越したようなひとときを体験しました。さすが体操の恩師と,敬服と感謝の念を禁じ得ませんでした。

 2日目は,運動経験が全くない私が,家内共どもH.G.G.(ハー・ゲー・ゲー)グループに混入(?)して,大フロアで演技らしきものを披露致しました。
 総勢21名でしたが,男子は3名(主宰者の春山文子氏の夫君である春山国広前委員長・筑波大学名誉教授,体操関係のビデオ制作・販売会社「VAC」林武明社長,それと私)のみ。そして林氏と私とは全くのシロウト。見よう見まねで,トンだ三枚目を演じました。
 同チームのデキるメンバーの方がたと指導者の文子先生には,本当にご迷惑をお掛けしました。失礼をお詫びすると共に,参加させて頂いた事に厚く謝意を表したいと思います。

 また2日間とも,ドイツからのゲスト・チーム(Ostalbhurgler)が,本場ヨーロッパの伝統を垣間見せるような,アクロバティックな体操演技で楽しませてくれました。

 会場の各所では,旧知の数多くの指導者とも歓談でき,有意義な2日間でした。委員長の荒木先生をはじめ,開催に携わられた諸先生方に,深く慰労の意を捧げたいと思います。


H. G. G. in 香港 日本体操協会一般体操委員会  
南国の夜 小さな竹の橋 珊瑚礁の彼方 山口軍一 早津敏彦 山口銀次 ルアナ・ハワイアンズ 珊瑚礁の彼方 山口軍一 早津敏彦 山口銀次 ルアナ・ハワイアンズ

南国の夜 小さな竹の橋 珊瑚礁の彼方 山口軍一 早津敏彦 山口銀次 ルアナ・ハワイアンズ 珊瑚礁の彼方 山口軍一 早津敏彦 山口銀次 ルアナ・ハワイアンズ
■平成17年11月9日  日本体育大学体操部「第37回 体操祭」


  日時:10月28日(金)19:00 開演 於:国立代々木競技場第二体育館


 会場キャパシティ約三千の客席が,ほとんど空席なしと言う盛況で,さすが世界的名声を有する日体大体操部の演技発表会でありました。

 客席には昨年度卒業の若いOB・OGをはじめ,体操部創始者の最古参OBの濱田靖一日本大学名誉教授,歴代の体操部関係者,関連各大学教授連,社会体育の指導者,各種タレント群等々,多士済々のスタンドがにぎやかでした。

 かつて体操部の音楽を作曲していた事もあって,私は,初期のころ駒沢体育館(旧オリンピック関連施設)で開催されていた時代以来,二十数年ほぼ毎回参観させて頂いています。

 今回は,体操部OBの小林ヨシヒサ氏(現NHK・TV「おかあさんといっしょ」の体操のお兄さん)が進行役で,ドイツからのゲスト・チーム OSTALBHURGLER,国立劇場歌舞伎俳優研修生(尾上松太郎丈・指導),男子OBによるオールド・ボーイズ等々,華やかなメンバーが登場し,さらにムード作りとしてUBUD(ウブド;Synth. 吉田潔,Gt. 河越重義),里アンナ(ヴォーカル)の諸氏が全面的なバック・アップをした,壮大な体操ショーが繰り広げられ,観客を魅了していました。

 随所に将来へのアクセスを予感させる実験を盛り込んだ内容は,指導者である荒木達雄教授のチャレンジ精神,また体操と世界の音楽との調和というライフ・ワークへの腐心ぶりを窺わせるものでした。

 ウブドの音楽も「無国籍でアジアンな楽園を創り出すユニット」の標題のもとに,世代を感じさせるページェントを担っていた様に思います。

 照明や音響,それにコスチュームなどが,一段と華麗なショー・タイムであった今回の体操祭においては,かつて存在した駒沢時代の「男子の力強さ」「女子の優美なしなやかさ」と体操演技の熟練度とが,時代の流れと共にその本体が変化して来ている事を感じました。

 まさに現代社会の世相が,その根幹に転写されているのかな? と言う気持ちも,正直なところ無視し得えません。

 ともかく,男女とも二十歳前後の,人生で一番輝いている98名の諸君の肉体の躍動は,時代を超越した素晴らしい資産であり,その証しを,今年も日体大体操部が身を以って演じ切ってくれた事に,大いなる拍手を贈るものです


日本体育大学体操部  
南国の夜 小さな竹の橋 珊瑚礁の彼方 山口軍一 早津敏彦 山口銀次 ルアナ・ハワイアンズ 珊瑚礁の彼方 山口軍一 早津敏彦 山口銀次 ルアナ・ハワイアンズ

南国の夜 小さな竹の橋 珊瑚礁の彼方 山口軍一 早津敏彦 山口銀次 ルアナ・ハワイアンズ 珊瑚礁の彼方 山口軍一 早津敏彦 山口銀次 ルアナ・ハワイアンズ
■平成17年10月18日  ハワイアン・ピアノ曲集


 「カフェで流れる『ハワイアン・ピアノ曲集』」を05年9月30日に発刊(ドレミ楽譜出版社)致しました。

 本来は,もう少し早い夏季に出版出来るよう準備していたつもりが,諸般の事情でこの時期になりましたことが心残りです。

 内容は,ハワイアン・ミュージックのスタンダード曲をBGM風のピアノ・ソロで,というのがコンセプトでしたが,途中で諸もろの要素を書き込みたくなり,たまかず(玉数)がやや多くなった感もしないではありません。その辺りがまだまだ未熟な所と反省しています。

 私とハワイアン・ミュージックとの出会いは,ラジオから流れるベティ稲田の「マリヒニメレ」や灰田勝彦の「鈴懸の径」に耳を傾けた小学生の頃でした。大学生のとき,ナレオ・ハワイアンズの白石信氏の知己を得,長じて銀座「タクト」,池袋「南蛮」の虜となった時代がありました。その頃に大橋節夫氏の「グッバイ・ホノルル」「東京の夕陽」等の楽譜出版をお手伝い出来たことは,専門的に音楽を理解する上で,その周りの方がたとの接触も含め,大変に役立った経験となりました。

 そんな事柄が土台にあったのかどうか,後年私どもの結婚の折には,山口軍一氏(元ルアナ・ハワイアンズ)が媒酌の労をお取り下さり,後見役として早津敏彦氏(ポリネシア民族学研究家),白石信氏(前述)に大変お世話になりました。特に山口氏にはご多忙中にも関わらず,家内の実家のある宮崎までお出向き下さいました。
 以来,それが,この業界の多くの人材に教えを請うことにつながっています。

 ハワイアン・ミュージックの世界でも,戦後の大スターの時代から,徐々に代替わりの世代に入っていますが,それにつれて,新しいヒット曲も誕生しています。いつまでも「青(ブルー・ハワイ)」「竹(小さな竹の橋)」「珊(珊瑚礁の彼方)」「南(南国の夜)」一辺倒ではなくなりつつあるのも現実です。

 ただ,一度は夢見るハワイの島じま,椰子の葉そよぐトロピカル・ムード,そして甘いロマン,それらを演出する陰の主役である南国メロディを,自由な雰囲気で楽しく奏でる事のガイドとして本書の意図するところを汲み取って頂ければと,筆を執ったわけです。


曲目詳細  
南国の夜 小さな竹の橋 珊瑚礁の彼方 山口軍一 早津敏彦 山口銀次 ルアナ・ハワイアンズ 珊瑚礁の彼方 山口軍一 早津敏彦 山口銀次 ルアナ・ハワイアンズ

蓄音機 ココミュージックスタジオ SPレコード 伊藤篤志 白石信 大橋節夫 灰田勝彦 服部逸郎 林伊佐緒 ドロシー・ラムーア
■平成17年10月17日  第5回 蓄音機コンサート


  日時:平成17年10月16日(日) 13:00〜  於:赤坂ココ・ミュージック・スタジオ
  DJ:伊藤篤志(九州ハワイアン協会会長), 白石 信(ナレオ・ハワイアンズ主宰)
  後援:富士レコード社

2005年10月16日 ハワイアン・ミュージックのSPレコード・コンサートも,早くも5回目を迎え,海外組を含めた好事家達の神妙な顔・顔・顔が集合した中,私も良き時代の良き演奏を楽しんで来ました。

 今回は昭和7年発売の逸品(天野喜久代:波のメロディー)や,昭和9年のフラ(ヘレン本田:カレイエ)等々,約20曲を披露して頂きました。

 戦時中の逆境時代,カタカナ表記が出来なかった頃に苦肉の策で収録した,かつての名歌手達の中で,何と東海林太郎,林伊佐緒,楠木繁夫,服部逸郎(レイモンド服部)各氏の若かりし頃のハワイアン・ラヴ・ソング? を聴く事が出来ました。
 
 オープニングは「南国の夜」特集で,同名異曲が全部で5種類以上あるとの事でしたが,曲目はまずドロシー・ラムーアが映画「ベラクルスの夜」(1938年,昭和13年)で,タンゴのリズムに乗って熱唱した「南国の夜」,次に昭和29年に大橋節夫氏が同様のタンゴで唄ったもの(しかしこの盤では,例の大橋スタイルの前奏メロディが,アンコとして2回出て来ています),更に灰田有紀彦作品の別種の「南国の夜」(なかなかの佳曲)を,弟の灰田勝彦氏が唄ったもの――と,DJの伊藤・白石両氏のオタク振りによって,否が応でも興味をそそられる内容となりました。

 この種のコンサートには付き物の,解説やその時代背景,後につながる人脈の話題など,またコレクターには垂涎の的となる銘盤・珍盤が登場した事などに大いに満足して,次回(来年2月下旬)のミーティングを期待しつつ散会となりました。



ココミュージックスタジオ  SPレコード博物館 
蓄音機 ココミュージックスタジオ SPレコード 伊藤篤志 白石信 大橋節夫 灰田勝彦 服部逸郎 林伊佐緒 ドロシー・ラムーア

日本体操学会 筑波大学 春山国広 北海道教育大学運動学研究室 古川善夫 ゆーすくーる 日本体操学会 春山国広 古川善夫道立青年の家 ゆーすくーる
■平成17年9月29日  日本体操学会第5回大会に参加


 平成17年9月17日(土)・18日(日),北海道深川市道立青年の家で開催された日本体操学会第5回大会に,第1回からの連続参加で,行って参りました。

 深川市は,千歳空港から特急で約1時間半位の所で,次のJR駅が旭川となる,北海道の中央部に位置した美しい田園都市です。さてその深川駅から徒歩で5分,タクシーで10分(?!)という道立青年の家には,飛行機の都合で9月16日の夜,到着しました。

 駅前特有の照明から一歩外れると,真暗な平地が続いていたので,早速タクシーのお世話になりました。すると舗装された車道は,農地を迂回するように大きく蛇行して設営されていたので,徒歩5分,車で10分の意味がようやく理解できました。

 翌17日は学会開始が13時からなので,朝食後9時から1時間,軽く体を動かすトレーニング。次いで10時から12時までも有効に活用しようと言うことで,6・7人でウォーキングの開始です。
 
 徒歩でイルムの丘に建つ,お洒落な英国風のクラシックな教会まで,と言うことになり,イルムケップスカイラインを登り,懐かしい素朴な風景の中に創られた水車の回る里を通り,放牧された羊の群れ(見たのは3頭ほど)を横目で見ながら,息もたえだえで教会に到着しましたが,キャッチ・フレーズにある「爽やかな風と心地よい汗を求めて」「大小二十数基の水車が連なる美しい田園風景を創出」は,強ち間違いではありませんでした。

 しかし体力低下の著しい私は,教会でタクシーをお呼び願って,結局4人ほどは車でご帰還。1時間40分位かけて登ったはずなのに,車ではアッという間に宿舎にもどり(約7分),無事ランチ・タイムに間に合いました。

 ただ心残りは,折角訪れたチャーミングな教会に設置されている,約200年前に製作された(教会のガイドの方の説明による)パイプ・オルガンの演奏が,この日のこの時間に限って行われず,その音色を楽しめなかった事です。
 
 13時からは開会に伴うセレモニーに続き,オリエンテーション,基調講演「体力づくりとバイオ・メカニクス」(北星学園大学・佐々木敏氏),ビデオ・シンポジウムPart 1,Part 2,研究ノート「ドイツ体操祭(2005) ベルリン大会での中高年の発表」(春山国広 体操学会会長・筑波大学名誉教授),休憩をはさんで,総会,体操パフォーマンス(日本体育大学体操部),懇親会と,長く密度の濃い初日が終了しました。
 
 そもそも日本体操学会とは「動いて学び,学んで動く学会」で,「理論と実践に重点を置き,指導や実践的活動に役立て,体操の普及・発展に努めることを意欲的に推進していく学会」なのです。
 
 会員の方がたは,全国の体操に関連する学校(大学・専門学校を含む)・団体の指導者が多く,大半の先生方の肩書きを拝見すると,その知名度や実績からも,錚々たる人物の集団と見受けられます。
 
 本来であれば,体操家でも何でもない私のような立場の人間が介在していることは,不自然にも思えるし,事実これまでも若い学会員にその旨の質問を受ける事が多数ありました。
 
 ただこれは,作曲を生業としている私が,従来NHK・民放・レコード各社に於いて,体操音楽を多数手掛けて来たこと,またそれ等の曲の多くが海外でも活用されて来たことで,特殊な人間関係が構築されている結果かと,関係されている先生方に感謝しています。
 
 そんな中で,日常の生活から乖離した生活をするのも,精神的にも肉体的にも,大いなる刺激に充ちた2日間でした。
 
 さて,本題に戻って第2日目は,午前中に一般発表・実践研究が別会場で6項目,15課題が質疑応答を交えながら各15分ずつ発表され,午後からは体操パフォーマンス,ワークショップ,シンポジウム等,夕方5時まで精力的に展開されました。
 
 私は久し振りの北海道に仕事上の雑事が伴っていたので,夕刻には札幌に戻り,20日の帰京までを,深川市に滞在している時以上の過密スケジュールで過ごしました。
 
 残念ながら,一般的な観光名所巡りなどの時間をとれず,かなりの疲労感が蓄積しましたが,精神的にはかなり充実した旅を,大自然に育まれた北海道の旅を終えました。

 このページを借りて,大会組織委員長の北海道教育大学教授・古川善夫先生,学会会長の筑波大学名誉教授・春山国広先生に,こころからの謝意を申し上げます。



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武蔵野市民文化会館 志水隆 津嶋麻子 杉並児童合唱団 杉並会 桃井小学校 ゲッタウェイ 志水隆 津嶋麻子 杉並児童合唱団 杉並会 桃井小学校 ゲッタウェイ
■平成17年9月27日  児童合唱の実演に想う


 2005年9月23日(金)18:00〜 於:武蔵野市民文化会館大ホール
 ― 杉並児童合唱団 第41回定期演奏会 ―


 この合唱団の主宰者である志水隆氏は,杉並区立桃井小学校で教鞭をとる傍ら,校内での学童の合唱を指導されていましたが,校内・区内を問わず,その指導力が評価され,地方公務員の枠を越えた活動が実って,遂に停年を前に一私人として独立,今日の杉並児童合唱団の音楽的な礎を構築されました。

 志水先生は十数年前から体調を崩されてはいますが,今回も立派に指揮者としての役割を果たしていらっしゃいました。
 また初期の頃から合唱団の伴奏を継続されている津嶋麻子先生が,波多き児童合唱の維持に,心血を注いでいらっしゃるのも特筆されるべき事と思います。

 こちらの団体には,志水先生の教諭時代,そして定演が荻窪の杉並公会堂で行われていた頃から,私の作品中では,大変にお世話になっています。

 今回のプログラムは,

  第1部 クラシック名曲集
   ヘンデル,シューベルト,クライスラー等 全4曲

  第2部 がいこくのうたメドレー
   ガチャガチャバンド,チロルの子もり歌,おおブレネリ,アルプス一万尺等 全12曲

  第3部 杉並ポピュラー 〜ビートルズ・メドレー〜
   ガール,アンド・アイ・ラヴ・ハー,ミッシェル〜イエスタディ,ヘイ・ジュード等 全6曲

  第4部 杉並ミュージカル(オリジナル作品)
   ゲッタウェイ Vol. 2 〜合唱団物語編〜


 いつもながらの,歯切れの良いテンポとリズムで曲が進行しています。毎回感じるのは,杉並独自のオリジナリティを持った演出であり,それは全国各地に存在する「杉並会」の良きお手本ともなっています。

 児童合唱という特殊性で,年齢的宿命・男女とも団員の年齢的な変化・団員の保持・音楽としての時代性等々,直接的な団の運営以外にも,想像以上の諸問題を内蔵しながら,立派な第41回公演でした。

 考えて見ると,現在舞台監督・演出・振付をされている浅木紀子氏が,セーラー服が似合うお嬢さんの頃もありました。またその数年前には,高校・大学生となったOBの諸君が,ミニ・オーケストラを組んで,伴奏の一翼を担った時代もありました。また大人になった時点で,本格的な歌の道を目指して,新たな勉強をされたOGもいらしたと聞いています。

 このコンサートが,いや合唱団自体が,いくつかの時代の洗練を受けながら次の時代への希望となるべく,手づくりで取り組んでいられる志水・津嶋両先生,団員の皆様,そして応援される保護者の方がたに,限りない拍手を贈ります。

 最後に志水先生のご挨拶の中から―「・・・今の世の中の子どもが巻き込まれる事件が毎日のように発生していますが,杉児の団員達と生活していると,そのような世相は,別世界のことのように思えてなりません。・・・内容の濃い,楽しい合唱をつくるためには,単に唄う練習を重ねるだけではなく,合唱団生活の中で助け合い,協力する心を育て,互いにやる気を持続させることが肝要です。・・・私たちの実践が,日本の児童合唱界や教育界の発展のために,少しでもお役に立てることを願って,日々努めております。・・・」

 この示唆に富んだ優れたご見識を,少しでも学び取りたいものです。



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紀尾井ホール ハーモニー 鈴木弘尚 シューマン ヒナステラ 鈴木康純 紀尾井ホール ハーモニー 鈴木弘尚 シューマン ヒナステラ 鈴木康純

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■平成17年9月27日  ふたつのピアノ・リサイタルを聴いて(No.2)


 ふたつめは,2005年9月22日(木)19:00〜 於:紀尾井ホール
 ― 鈴木弘尚 ピアノ・リサイタル ―

1. J. S. バッハ 半音階的幻想曲とフーガ ニ短調
2. スクリャービン ピアノ・ソナタ第5番 作品53
3. カール・ヴァイン ピアノ・ソナタ(1990)
4. ラフマニノフ 練習曲「音の絵」より
  1. 作品33-2 ハ長調 2. 作品33-5 ニ短調
  3. 作品39-2 イ短調 4. 作品39-9 ニ長調

5. シューマン 交響的練習曲 作品13

 鈴木弘尚氏は,従来のピアニストの中では珍しい経歴を持ち,「ヤマハ音楽教室」出身から海外留学コースを選択,以降チャイコフスキー国際コンクール・ピアノ部門特別賞を受賞したのをはじめ,海外や国内の数多くの国際コンクールで入賞を果たして,その一部はNHKドキュメンタリー番組として,全国ネットで放映されたという実績を持つ,バリバリの若手ピアニストの一人です。

 当日もNHKのTVカメラが入り,ステージ上にもカメラが設置されていた関係からか,最初の部分(バッハの頃)は,重い緊張感が漂っていたことは否めない状況でした。
 
 曲の進行につれ,ファーストCDアルバム(『レコード芸術』6月号で"準特選盤"に選出)にリリースされたレパートリーの段階になると,流石に彼のキャッチ・フレーズの「作品に対するきめ細やかなアナリーゼ,知的で感性豊かな,そして哀愁感漂う歌心で聴衆を魅了する」状態に近くなったという意味で,聴き応えのあるコンサートでした。

 超高度なテクニックを聴かせる技は,まだまだ進歩する可能性を秘め,小柄な身体からは想像できないくらいの男性的表現力は,久し振りのピアノ・コンサートを印象づけるに十分でした。

 最後のシューマンの後半の部分とアンコール曲(シューベルト作曲・リスト編曲「水車屋の男と小川」,ヒナステラ作曲「アルゼンチン舞曲より」の2曲)では,若い彼の力を以ってしても,やや疲労の色が見えたのは,今後の課題として,大切な経験になった事と思います。世界の大ピアニストのコンサートの,多種多様な技法を吸収するべきですが,かと言って老大成はして欲しくない,逸材の片鱗を覚えました。

 会場ロビーでは,ピアノ・デュオを組むパートナーの一人,実弟の鈴木康純氏が,兄貴とそっくりの顔立ちでロビー・コミュニティをやっていらっしゃいました。思わず笑顔を誘う微笑ましいその光景が,ステージ上の兄貴のパフォーマンスと対照的であったことが,なお更当日の印象を強くしていました。



鈴木弘尚/Etudes symphoniques  
紀尾井ホール ハーモニー 鈴木弘尚 シューマン ヒナステラ 鈴木康純 紀尾井ホール ハーモニー 鈴木弘尚 シューマン ヒナステラ 鈴木康純

紀尾井ホール ハーモニー 関根有子 ショパン リスト 井口愛子 井口基成 紀尾井ホール ハーモニー 関根有子 ショパン リスト 井口愛子 井口基成
■平成17年9月27日  ふたつのピアノ・リサイタルを聴いて(No.1)


 はじめは,2005年9月9日(金)19:00〜 於:紀尾井ホール
 ― 関根有子 ピアノ・リサイタル・ファンタジー ―

1. J. S. バッハ 半音階的幻想曲とフーガ ニ短調
2. ショパン 幻想曲 ヘ短調 作品49
3. リスト ダンテを読んで「ソナタ風幻想曲」
4. シューマン 幻想曲 ハ長調 作品17

 コンサートのサブ・タイトルに表記されている様に,プログラムは「幻想曲」に統一された内容となっており,なかなかの力演を聴くことが出来ました。

 彼女の演奏を拝聴するのは,1999年5月(紀尾井ホール),2004年11月(芸術劇場大ホール)につぎ,3回目になります。

 彼女の母親は,ピアノ指導者として我が国屈指の井口兄妹(井口基成・井口愛子)のお一人であり,桐朋学園や東京音楽大学の設立にも尽力され,中村紘子・野島稔・宮澤明子等の各氏を育て上げた教育者でもありました。

 関根有子氏には二人の兄上がいらっしゃいますが,ピアニストの道に進まれたのは彼女のみです。

 私は作曲という仕事の上で,彼女の次兄である佐藤方紀氏(現・株式会社ハーモニー代表取締役)には,三十数年にわたり個人的にもお世話になっており,その関係で,実は彼女の幼少時代から今日に至るまでの経緯について,多少存じ上げているのですが,今回はその先入観を外した上での鑑賞となりました。

 彼女は現在東京音楽大学教授として奉職されていますが,今回のリサイタルに向けての精神的な重圧は,並のものではなかった筈で,年齢的にも,現在のお立場等からしても,出せるものは可能な限り全部出し尽くさねばとの意気込みが,充分感じられるリサイタルでした。

 曲目がある意味で限定された中,それが比較的重く,考え方によっては一番難しい選曲であった事も重なって,最後のシューマンが終了したときには,会場全体に安堵感のようなものが広がりました。その気持ちを最大に感じ取られたのは,他ならぬ主役の彼女自身であったのかも知れません。敢えてアンコール曲のサーヴィスを外したのも,その流れの一端であったのかと感じました。とも角,ピアノ教師でもある彼女にしては大熱演で,彼女自身の受け取った手応えが,今後の動向に大きな示唆を与えるものとなる,大きな反応であったと確信致しました。

 当日の会場では,日頃お目にかかれないアット・ホームな情景と雰囲気が,随所で見受けられました。これも演者のお人柄の一端かも知れません。



株式会社ハーモニー  
紀尾井ホール ハーモニー 関根有子 ショパン リスト 井口愛子 井口基成 紀尾井ホール ハーモニー 関根有子 ショパン リスト 井口愛子 井口基成

海野義雄 N響 東京音楽大学 サントリーホール ヴァイオリン フランク 海野義雄 N響 東京音楽大学 サントリーホール ヴァイオリン ラヴェル フランク ラフマニノフ
■平成17年9月9日  海野義雄・杉谷昭子 デュオ・コンサート


 9月5日(月)19:00開演のサントリーホール大ホール「海野義雄・杉谷昭子 デュオ・コンサート」を拝聴して来ました。日本におけるドイツ年の記念行事の一環として催されたとの事。

 プログラムは

1. モーツァルト : ヴァイオリン・ソナタ 変ロ長調 kv.454
2. ベートーヴェン : ヴァイオリン・ソナタ ハ短調 op.30-2
3. ラヴェル : ハバネラ
4. ラフマニノフ : ヴォカリーズ op.34-14
5. フランク : ヴァイオリン・ソナタ イ長調

 アンコールは,全4曲の大サービスで,ベートーヴェン,エルガーとクライスラー2曲。

 海野氏は若干23歳でN響のコンサート・マスターに抜擢され,以後世界各地での演奏等で国際的に知名度の高いヴァイオリニストですが,現在は東京音楽大学学長をはじめ,後進の指導のための業務に比重を置かれている様です。

 一方杉谷氏は,ケルン音楽大学大学院を修了後,ドイツを中心に毎年のように海外での演奏活動を展開され,ベートーヴェン・ピアノ協奏曲全集のリリースにおいては,女流としては世界初の快挙との評価を受けておられます。現在,ベートーヴェン・ピアノ・ソナタの連続演奏と,そのレコーディングに取り組まれています。

 当日のプログラムでも,ベートーヴェンの作品が主要なポジションを占めていたのは当然の成り行きであったかと思われます。

 ビッグ・ネームの共演と言うことで,日本の音楽界の一端を計るつもりで,ある種の期待感を持って出掛けました。席もSシートで,会場のほぼ中央の場所を入手していました。

 さて開演となり,モーツァルトの流麗なスケールを楽しみにしておりましたが,残念ながらヴァイオリンの響きが全く聴き取れません。加えてピッチがピアノ音とミックスせず,既に非常に残念なコンサートになっていました。

 ホールの特性? ピアノ伴奏とのコンビネーション? 当日のホールのコンディション? 諸々の原因を考えていましたが,二曲目のベートーヴェンに入って,流石に楽章ごとにチューニングが繰り返されていたので,第2部の小品に移った頃,何とか演奏の形が出来てきた様な流れでした。

 念のために会場に来られた他の何人かのオーディエンスにも訊いて見ましたが,全く同様の反応が返って来ました。正直,かなり辛い時間帯を過ごすことになりました。

 響きが聴き取れない以上,音楽内容を申し上げる情況ではなく,少なくとも有料にする限りは,そのノルマくらいは果たして欲しかったというのが本音です。第一線で活躍された,あるいは活躍されている方々なのですから,つくづく残念に思いました。



2005/2006 日本におけるドイツ年  
巨人の星 タイガーマスク アタック No.1 伊集加代子 大杉久美子 衛藤幸雄 巨人の星 タイガーマスク アタック No.1 伊集加代子 大杉久美子 衛藤幸雄

海野義雄 N響 東京音楽大学 サントリーホール ヴァイオリン フランク 海野義雄 N響 東京音楽大学 サントリーホール ヴァイオリン ラヴェル フランク ラフマニノフ
■平成17年8月17日  「アタック No.1」に想う


 最近のテレビ・コマーシャルで,♪アタック♪アタック♪アタック・・・と連呼される場面をよく見かけます。また今年に入って,昭和44年(1969年)12月からフジテレビで放映が開始されたスポ根アニメ「アタック No.1」のリメイク版が,アニメから実写に変わってテレビ朝日で放映され,それなりの話題を提供してくれました。

 実写版が放映されている期間に,とあるスナックで知り合った青年が,「実は今,アタックの撮影でエキストラとして,何シーンも登場しているんだ・・・」と,自慢気にこと細かい説明を私と家内にしてくれました。

 彼とはそのお店の常連同志ですが,お互いにプライベートの部分は何一つ知らず,ただマスクとニック・ネームを覚えている程度の関係です。後日,画面の片隅に例の青年らしき画像を見て,改めて驚いた次第です。当然彼は私が何者かを全然知らずに,私たちは気分的に楽しい時間帯を今も継続しています。

 時代が遡りますが,'69年の夏,シンコー・ミュージック様から作曲依頼のお話があった時は,その2年ほど前から「巨人の星」「タイガーマスク」「あしたのジョー」と連続して,テーマ曲の編曲とそのBGMの作曲を手掛けていましたので,恩師の故渡辺岳夫先生と共に,とにかくお引き受けしましょうの一言で商談成立となった訳です。

 スポ根モノのイメージを,「巨人の星」とは異なり,女の子をメインにした作品において,どのような形で音楽的に集約するのかということを,渡辺先生と私との間で約1ヶ月近く話し合った記憶が鮮烈に残っています。

 私たちの手許ににある作品を作るための素材は,原作のマンガ本,作品の企画書,そして最初の何話分かの台本,そして原作者と制作スタッフとの会話。その流れの中で,徐々に全体的イメージを固めながら,テーマ曲の形を確定させて行きました。

 次に問題になったのがテーマ曲の歌手の選定です。番組の主役の声は,当時青山学院の大学生であった小鳩くるみ(鷲津名都江)さんで,彼女はビクターレコードの専属。またレコード会社各社の競作を考えていたシンコーさんの意向で,フリーの歌手で吹き込む話が持ち上がり,そこで登場したのが後にいろいろの関係が生じて来る,歌唱力充分の伊集加代子さん。ところがコロムビアレコードでは,自社の歌手で行きたいとの事で,こちらは大杉久美子さんで吹き込みました。

 カラオケは虎ノ門にあった「テイチク会館」で,B面の「バン・ボ・バン」と共に行なわれましたが,これが意外にスムーズに進行して,今考えると諸々の新しい試みを実験したことが,結果として成功したと言えます。(BGMの部分は今の電通本社の対岸にあった「銀座スタジオ」で収録しました。)その折に関わった方がたの中のお一人には,フルート奏者として参加して下さってアドヴァイスも頂戴した,衛藤幸雄氏がいらっしゃいました。氏は現在悠々自適の生活を送られているとの事です。

 話は逸れましたが,前の3人の歌手の方がたの録音は,それぞれのキャラクターと番組イメージとの結合という部分で正直手間取りました。しかし三人三様の立派な歌が完成した事に,大いに満足感を得ることが出来ました。

 ずっと昔のことながら番組も歌も大ヒットし,現在も多くの方々の話題に登場する作品に参加出来た一人として,本当に幸福感を覚えています。そうです・・・例えば「惻隠(そくいん)の情(じょう)」(いたわしく思うこと)という美しい日本語が,まだ死語になる前の,あの夏からもう既に35年も経過した訳ですから。


アニメ・ソング大百科 フルート名曲31選  
巨人の星 タイガーマスク アタック No.1 伊集加代子 大杉久美子 衛藤幸雄 巨人の星 タイガーマスク アタック No.1 伊集加代子 大杉久美子 衛藤幸雄

光陰矢の如し 介護 車椅子 花柳流 老人 光陰矢の如し 介護 車椅子 花柳流 老人
■平成17年8月16日  光陰矢の如し


 今年もお盆の季節を迎え,昨年の秋から今年にかけて新たに鬼籍に入られた旧友を偲びつつ,先の大戦の敗戦から60年という節目の,深い感慨に浸っている夏を過ごしています。

 この期を利用して,家内の実家のある宮崎市を訪問しました。実家では,家内の両親が共に90歳をはるかに過ぎた齢ながら,妹夫婦の世話になっているので,日頃からの感謝の気持ちとして短時間とはいえ介護の真似事をし,そして東京では味わえない自然環境に自らのリフレッシュをもすることが出来ました。

 私どもが結婚して以来,何かと多大な心配をして下さった,テニス・日舞(花柳流名取)・三味線等多趣味で気丈な義母と,学者肌で60歳を過ぎてから始めたコンピューターに生き甲斐を求めていた義父も,ともに車椅子の世話になる事が多い生活を送っています。

 健康面は年齢相応の症状ですが,それでも調子の良い折には,若い頃の資質が鋭いばかりに伝わって来る場面もあり,「いくつになっても,親は親」という敬愛の念が変わらないことを確認して来ました。

 彼らが,8人ほどいる曾孫たちから未だに一目置かれる存在として生きている事実には,その廻りの人たちの温かい介護を含めた生活実態というものを実感するにつけ,その作業の内容が肉体的にも精神的にも,更に物質的にも,いかに大変なことであるかを痛感しています。

 いずれ私ども夫婦もその状況を迎える事になる訳ですが,その時の人間の生き方に,身を以て指針を与えて下さっている,との思いです。つい最近まで若い若いと思っておりましたが,健康に自信が持てる間に,自己責任でやらなければならない多くの事例を,改めて熟慮する時間を持てた,良い旅であったと喜んでいます。


ビデオ ふれあい体操  
イタリア リストランテ 文流 カンツォーネ ガラスの部屋 ほほにかかる涙 ボビー・ソロ サン・レモ音楽祭 日音 村上司 秋本茂 河合秀朋

イタリア リストランテ 文流 カンツォーネ ガラスの部屋 ほほにかかる涙 ボビー・ソロ サン・レモ音楽祭 日音 村上司 秋本茂 河合秀朋
■平成17年8月16日  カンツォーネの新刊楽譜


 この8月,ドレミ楽譜出版社からの要請もあり,久し振りにカンツォーネ・アルバムを出版させて頂きました。本のタイトルは「Canzone BEST 100」(カンツォーネ・ベスト100)。

 私がカンツォーネのジャンルに最初に接したのは,1964年(昭和39年),株式会社「日音」でお世話になっていた頃で,先頃故人となられた「日音」の前社長・村上司氏や,彼を含む当時の若い社員たち共々,青春を謳歌していた時代の事です。

 会社の方も一つの変革期にあって,社長が二代目の秋本茂氏に移行し,折から“サン・レモ音楽祭”がブームとなっていた事と相俟って,私たちはカンツォーネの日本市場での著作権獲得に夢中になっていました。

 幸運にも,ボビー・ソロの「ほほにかかる涙」(ウナ・ラクリマ・スル・ヴィソ)を,イタリアのFAMA社とワン・ショット契約出来た折には,それこそ祝杯を挙げて喜んだものです。

 この頃のカンツォーネの一連の作業では,当時キングレコードのプロデューサー(後にセブンシーズミュージックに移籍)であった,河合秀朋氏に随分お世話になったものです。若い頃からイタリア文化に傾注され,カンツォーネにおいても当時からエキスパートであった事は,現在でもそのお立場は変わって居りません。

 今回の出版に際し,河合氏の薫陶をお受けしたのは当然ですが,それ以外にイタリア人の専門家にも,校訂をはじめ,イタリアの文物についてご指導を賜りました。
 
 その役割を担当して下さったのは,高田馬場「地中海リストランテ」のオーナーが運営されている,イタリア語学校の講師の先生方です。

 皆様ご承知の様に,カンツォーネの起源は,ナポリターナ(ナポリ地方の方言)から発生し,現在の歌の中でも,その伝統が守られている曲が多いとの事です。殊にそういった歌の場合,標準的イタリア語とは,単語やスペリングに相違点が多く,先生方にはいろいろとご指摘して頂きました。
 
 著作権の都合で掲載出来なかった曲も多々ありますが,現時点での決定版になったことと自負して居ます。出版に際しお世話になったすべての関係の皆様方に,厚く御礼申し上げます。


文流オフィシャル・サイト カンツォーネ・ベスト100  
イタリア リストランテ 文流 カンツォーネ ガラスの部屋 ほほにかかる涙 ボビー・ソロ サン・レモ音楽祭 日音 村上司 秋本茂 河合秀朋

パラオ palau 大東亜戦争 サイパン 酋長の娘 ガンダム ハイジ アタック No.1 パラオ palau 大東亜戦争 サイパン 酋長の娘 ガンダム ハイジ アタック No.1
■平成17年8月6日  パラオ共和国に想う!

 

 今年は,日本国が第二次世界大戦の敗戦国となってから,60年という節目の年にあたります。天皇・皇后両陛下におかれては,戦禍の犠牲となった多くの方がたの慰霊の旅の一環として,サイパンへの渡島を果たされ,国籍を問わず静かに黙祷されるお姿の数かずが報道もされました。現地での「海行かば」(詩=大伴家持・万葉集長歌の一節,曲=信時潔,昭和18年文部省他で準国歌に制定)の歌声に,私も感慨の念を深く致しました。
 
 2年程前ですが,私はパラオに赴きました(その時は栄養学・保健社会学チームの一員として)。当時の Hon. Tommy E. Remengesau, Jr.大統領,Alexander Merep 文化大臣から手厚い歓迎を受けました。その折の70才代の方がたによる歓迎の辞の,正しい美しい日本語と,「うさぎとかめ」「酋長の娘」の歌声とが,強い印象を伴って想い出されます。

2003年5月 もちろん,本来の目的である学術の為の諸行事の間には,近郊を含む島々の観光をしたわけですが,美しい海―日本では想像も出来ない,本当に澄み切った青い空と白い雲―,純白の砂浜,濃い緑の赤道直下の植物たちは,表面的には,まさに南国の楽園でした。
 
 しかし観光船の発着する桟橋の先には,旧日本軍の軍艦のマストが数本にわたり海面に突出している姿や,その脇の入り江の洞窟からこちらに睨みをきかせている大型の大砲の砲身が見え,また日本軍の設置したトーチカの残滓等が,島のあちらこちらに点在しておりました。日本軍の何千人かの部隊が玉砕した島々が,目前に控えているという現状も確かな事実でした。
 
 現地の大使館やODA団体の方がたのご支援もあって,いろいろな体験をさせて頂きましたが,その強烈な悲劇の印象は,一音楽家としての私をして,このまま座していて良いものかという抑え難い義憤の念に向かわしめました。気が付くと,いつの間にか前述の様な場所に於いて,自然と手を合わせている自分自身に,せめてもの安堵感を覚えました。
 
 その時,自分に出来たことは,日本から持参した数冊の日本の童謡集(そのうち数曲は今も現地のお年寄りが歌っています)を然るべき高官にお渡ししたことと,同行した十数名で「春の小川」「ふるさと」を歌って差し上げたこと位でした。
 
 現地の学校での子供たちの人なつこい素朴な笑顔が,今でも宝物のような美しい輝きで,私の脳裡に刻み込まれています。
 
 可能な限り,再渡島の機会を作りたいと思っています。

パラオの旅   
パラオ palau 大東亜戦争 サイパン 酋長の娘 ガンダム ハイジ アタック No.1 パラオ palau 大東亜戦争 サイパン 酋長の娘 ガンダム ハイジ アタック No.1

ガンダム ハイジ アタック No.1 渡辺岳夫 小鳩くるみ つのぶえ 影絵ガンダム ハイジ アタック No.1 渡辺岳夫 小鳩くるみ つのぶえ 影絵
■平成17年8月4日  角笛(つのぶえ)シルエット劇場で歌う!

 

 7月25日(月)有楽町マリオンで開催された,角笛シルエット劇場第40回公演で,歌をうたって来ました。
 
 こどもの心に美しい夢を贈る,この劇団角笛公演も40回を迎え,今年も元気な子供たちの歓声が,会場全体に広がっていました。
 
 この劇団の公演は,日本全国の主要都市はもちろん,ヨーロッパ・中東地域・東南アジア・韓国など,近年は外国での公演回数も増えて来ている様で,同慶の至りと喜んでおります。
 
 さて今年(2005年)は,次の3本立て公演でした。
 
  1. かぐや姫
  2. クックちゃんと歌おう「つのぶえのうた」
  3. かいじゅうドラドラとおばけリンゴ
  
 劇団代表の白石武士氏は2代目団長で,創設者であり初代団長であった故白石晴二氏の長男ですが,劇団員も代替わりし,若わかしい「影絵」の演技を披露されています。
 
 「かぐや姫」は,30数年前の創立期時代から続く,この劇団の代表的レパートリーの一つです。このドラマが,シルエット・ドラマ(影絵劇)の新境地を開いたパイオニア的名作として認められ,数かずの受賞の対象の話題となってスポット・ライトを浴びていた頃,当時のキングレコードが,音像部分のみ(セリフと背景音楽)でLPレコードを発売しました。
 
 音楽は私の作曲の師匠である渡辺岳夫氏が担当され,録音の際には岳夫先生の実父,渡辺浦人氏が自ら棒を振られていたと記憶しています。当時の私は,まだ音楽社会での駆け出し時代でしたが,このLP制作をお手伝いした事がきっかけとなり,劇団(初代団長時代)とのお付き合いが始まりました。
 
 小鳩くるみ(鷲津名都江),真理ヨシコ,森みゆき,と歴代のうたのお姉さんが続き,現在はお兄さん役たいらいさお,お姉さん役春口雅子の各氏へとリレーされています。本当に長い期間携わることが出来たことに対し,劇団をはじめ関係者の方がた,そして何よりも全国の子供たちと保護者の皆様,各団体の先生方に心から感謝しています。

 こどもが成長する速度は,考え方によっては猛スピードでタイム自体が変遷して行きますが,その吸収力と同じタイムで,時代の流れも変化していると考えるのは当然のことかも知れません。
 
 そんな流れの中で,角笛のオリジナル・パフォーマンスが,永年改良を加えながら継承されているわけで,大変な事業を継続されている劇団の方がたの努力に,改めて尊敬の念を感じざるを得ません。
 
 ところで,今から26〜7年前,シルエット劇場13回公演の折,私がプログラム用に寄稿した「こどもはみんな ゆめをえがく てんさいです」という一文を改めて紹介します。と言いますのも,この一文が掲載されたプログラムを手にした当時のお父さんお母さん方が,お爺ちゃんお婆ちゃんとなり,そして今そのお孫さんたちの世代の方がたが,マリオンで大声で歌っている,という時代になったからです。早い方の中には三世代目の角笛ファンという方もいらっしゃると伺いました。



 こどもはみんな ゆめをえがく てんさいです。


当時の松山 ぼくのうちには,だいすけという2さいはんになるおとこのこがいます。ぼくにとっては,おやこというよりも,なかのいいしごとなかまというかんじです。なぜかというと,ぼくはおんがくを,とくにちいさいおともだちにかんけいのふかいおんがくをつくるのがしごとなので,そんなとき,いろいろおしえてくれるからなのです。かおやどうさで,くちよりはっきりあらわしてくれます。

 こどものせかいでは,どうぶつも,のりものも,おとぎばなしのしゅじんこうも,かいじゅうも,みんなじぶんとおなじなかまです。そのなかまたちとは,うたということばでおはなしができます。だからこそこどものうたには,ほんとうのゆめがあるのだとおもいます。

 ひとはだれでも,さいしょはこどもですが,おとなになるにつれて,だんだんこどものゆめをわすれてしまいます。

 こどもはみんな,ゆめをそうぞうするてんさいです。おとなのおよばないゆめをもっています。ぼくはそんなてんさいたちのせかいで,いつまでもたのしくいきていきたいとおもっています。

 うたはほんとうにすばらしいですね。

 さあ,こどももおとなもみんないっしょに,おきなこえで“つのぶえのうた”をうたいましょう!!


劇団角笛ホーム・ページ  
ガンダム ハイジ ピアノ デュオ ラフマニノフ ガーシュイン ポギーとベス プーランク コープランド ガンダム ハイジ ピアノ デュオ ラフマニノフ ガーシュイン ポギーとベス プーランク コープランド

オーベルジュ山中湖 杉谷昭子 ベートーヴェン 後藤泉 ガンダム ハイジ アタック No.1 オーベルジュ山中湖 杉谷昭子 ベートーヴェン 後藤泉 ガンダム ハイジ アタック No.1
■平成17年8月3日  山中湖テラス・コンサート

 

 今夏7月31日から3日間に渡って開催された「オーベルジュ山中湖テラス」コンサートに出掛けて来ました。

 内容的にはかなり過密なスケジュールで,ピアニストの杉谷昭子氏のピアノ・リサイタル,ピアニスト後藤泉氏のサロン・コンサート,杉谷昭子門下生による,ピアノと歌の発表会,ベートーヴェン・サークルの第76回例会,それと会員有志によるSPレコード鑑賞会等,実に盛り沢山でした。さらに,杉谷先生によるピアノの公開レッスンも2日間に渡り催され,音楽漬けの有意義な時間帯を持つことが出来ました。

 杉谷先生は,ライフワークにされているベートーヴェンのソナタ,ショパンのバラード・ワルツ・エチュード・即興曲,ファリャの「火祭りの踊り」等,緑と湖にかこまれた絶好のロケーションに相応しい軽めの曲で,肩の凝らない楽しい演奏を聴かせて下さいました。

 今回は,勤務先のドイツから一時帰国中の杉谷先生のご主人も参加され,リラックス・ムードで笑いと会話の花を咲かせていらっしゃる様子が注目されました。

 後藤泉氏も,今後の活動の指針とすべく,ご自分のレパートリー獲得に対して長期的なプランをお立てになっている事を知り,これからの活躍が嘱望されるピアニストのお一人と認識致しました。

 ちょっと詰め込み過ぎて,私自身暑さと共にグロッキー気味ですが,プライベートな時間をうまく稼動させながら,秋のシーズンに向けて心身のリフレッシュに努めつつ,この時季を過ごしたいと思います。


  追 伸

  山中湖唯一のお寺である寿徳寺には,オペラ歌手として世界に名をはせた「お蝶夫人」のプリマドンナ, 三浦環の墓碑があります。
 
 墓碑には「うたひめは つよきを愛国心を持たざれば 真の芸術家とはなり得まじ」と刻まれています。


杉谷昭子ホーム・ページ  
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ボールダンス 社交ダンス 舞踏会 晩餐会 コンテスト ガンダム ハイジ アタック No.1 ボールダンス 社交ダンス 舞踏会 晩餐会 コンテスト ガンダム ハイジ アタック No.1
■平成17年8月3日  堀口ダンスワールド15周年記念パーティー

 

 今年(2005年)7月31日(日)夜,セルリアンタワー東急ホテル(渋谷)「セルリアンタワー ボールルーム」で,堀口ダンスワールド主催の「堀口ダンスワールド15周年記念舞踏晩餐会」が開催されました。私はゲストの一人としてお招きにあずかり,参加して参りました。

 堀口ダンスワールドは,ボールダンス(一般的な言葉では社交ダンス)の指導・普及に当たられている堀口史朗・さと子ご夫妻の主宰による,都内有数のダンス教室の一つです。
 
 堀口氏は,桐生の実家でも教室を運営されている,いわば業界のサラブレッドで,自身現役時代には海外留学された上,世界大会コンテストにも出場,見事入賞されるという輝かしい経歴をお持ちの方です。また,さと子夫人は,氏の18才頃からのパートナーとして活躍されて来た才媛です。

 ボールダンスは全国的組織を持ち,伝統的に人事交流も盛んで,今日でも根強い支持者から圧倒的な支援を受けているダンス種目の一つです。OBやOGには,社会的にも立派な方々を輩出しています。コンテストは世界的規模で開催され,その模様の一部が毎年のようにNHKテレビでも放映されていますので,ご存知の方も多いかと思います。

 今回のパーティーは,午後3時から9時半まで全部で9部に渡り,華やかなデモンストレーションや各種のセレモニー,プロフェッショナルの方がたによるチーム・マッチ等々,文字通り華麗な舞いに,一夜酔いしれて来ました。

 実は今年,このボールダンスの全国的講習会の折に,講師として参加し,音楽と著作権の話をした経験があります。実用音楽を,楽しく有意義に活用されている団体の皆さんのご努力に,敬意と感謝の意を厚く表したく思いました。今後のご発展を祈念致します。


セルリアンタワー東急ホテル   
ガンダム ハイジ ピアノ デュオ ラフマニノフ ガーシュイン ポギーとベス プーランク コープランド ガンダム ハイジ ピアノ デュオ ラフマニノフ ガーシュイン ポギーとベス プーランク コープランド

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■平成17年7月13日  努力の結晶

 

 狭山市(埼玉県)在住の若きピアノ奏者<斉藤デュオ>の,第2回目の新録CDが発売されました。制作されたのは,このディオ・チームの育成に並なみならぬご尽力を傾注されている,株式会社ハーモニーの佐藤芳紀社長です。

 このCDは,2004年12月千駄谷・津田ホールにおけるコンサートを収録したライヴ盤で,かつて東芝EMIにおいてもクラシック音楽のレコーディングに関しては,世界的評価を獲得されたエンジニア・池田彰氏の手に依る録音は,臨場感溢れる素晴らしいサウンドに仕上がっています。

 収録内容は,次のとおりです。

 1. プーランク:ソナタ−4手のための
 2. ラフマニノフ:組曲第1番「幻想的絵画」作品5 全曲
 3. モーツァルト/ブゾーニ編曲:2台のピアノのための「魔笛」序曲
 4. コープランド/バーンスタイン編曲:エル・サロン・メヒコ
 5. ガーシュイン/松山祐士編曲:「ポーギーとベス」組曲

 いずれの曲も絵画的要素が非常に強く,また作曲された年代の時代的・社会的背景が,それぞれの作品に色濃く反映されています。このCDは,斉藤デュオの普段のトレーニングからお手伝いをして来た小生にとっても,感慨ひとしおのアルバムとなりました。

 ラスト・ナンバーのガーシュインは,既成版では満足度に不足が募り,急遽,新たに書き下ろすこととなりました。編曲のスピードとその演奏進度とのマッチ・レースになって,文字通りファイトにつぐファイトといった音楽上の格闘が,本番当日のリハーサルにまで及んだ事が思い出されます。

 楽譜を創る立場,それを芸術的に表現する立場,それが極限まで追求できたことに,大きな意義を覚えています。

 全作品について,結果的には未完成の部分が若干見受けられますが,ライヴ盤での限界と,ヒューマニティ・エクスピエリエンス―逆に今後の成長への視界とを踏まえつつ,これからのお二人の更なる活躍を期待したいと感じました。

 なお,編集については,自らもピアノ・デュオを追究中のピアニストである,山崎裕氏がその任に当たられたとのこと。これはお互いのチームの音楽を理解する上でのラッキー・チャンスでもありました。このCDが斉藤夫妻の努力の結晶であることを思い合わせるにつけ,改めて喜びを禁じ得えません。


Piano Space 2   
ガンダム ハイジ ピアノ デュオ ラフマニノフ ガーシュイン ポギーとベス プーランク コープランド ガンダム ハイジ ピアノ デュオ ラフマニノフ ガーシュイン ポギーとベス プーランク コープランド

ガンダム ハイジ 和音 ジャズ喫茶 タクト アシベ 銀巴里 イエライシャン 美松 ライブ タンゴ シャンソン ガンダム ハイジ 和音 ジャズ喫茶 タクト アシベ 銀巴里 イエライシャン 美松 ライブ タンゴ シャンソン 
■平成17年7月12日  惜しむ

 

 今年6月で,日暮里「和音」(新しい邦楽の発信地と交流の場)が,その6年余の営みの幕を閉じました。夢と希望に溢れた多方面にわたる出演者と,それを陰で支えて来られた多くの関係者の方がたに,限りない感謝と惜別の拍手を贈ります。

 小生も,音楽を創る側の一人として,何組かのアーティストにご縁があり,何回かあの独特のミュージック・スペースに足を運びました。何処と無く,小生の子供のころにあった木造校舎の教室の雰囲気が感じられ,そこには日本文化の伝統的な土の香りが非常に良くマッチして,他所には無い寛ぎの場所でもありました。

 過去に,未だ物心共に豊かとは言えなかった昭和30年代,銀座「タクト」(ハワイアン),銀座「美松」(ジャズ),銀座「銀巴里」(シャンソン),新橋「夜来香」(タンゴ,セミ・クラシック),遅れて銀座・新宿「アシベ」(カントリー,ロックン・ロール) 等々,その形態はともかく,将来ある若いミュージシャンたちのデモンストレーションと活躍の場が,全国的に登場した時代がありました。

 学生時代の小生にとってそのお茶代はかなりの負担でしたが,当時の悪友たちと共に,一とおりは通い詰めたものです。その思い出が今,つい最近のことのように感じられるのは,ちと口惜しくもあります。

 そしてその音楽シーンからキラ星のごとく大スターが輩出し,中には勲章まで授与され,今なお活動されている先輩の方がたが何人か居られますことを,大変うれしく思います。

 無名時代の若き芸術家の卵たちが,自身の内蔵したエネルギーを世に問うという発表の場を,ジャンルに拘らず次第に失って行く事は,専門家のみならず多くの愛好家たちにとって,一つの時代が移行したという思いがしてならないでしょう。

 人間は形を変えながら,次の展開を求める動物かも知れません。新しい時代に即した,より発展性のある空間が出現することを心から願うものです。


邦楽ジャーナル   
ガンダム ハイジ 和音 ジャズ喫茶 タクト アシベ 銀巴里 イエライシャン 美松 ライブ タンゴ シャンソン ガンダム ハイジ 和音 ジャズ喫茶 タクト アシベ 銀巴里 イエライシャン 美松 ライブ タンゴ シャンソン

フォークダンス 民族音楽 CD 森田一浩 高田弘 伊藤玲子 高田浩希 ハンガリー スコットランド フォークダンス 民族音楽 CD 森田一浩 高田弘 伊藤玲子 高田浩希 ハンガリー スコットランド 東芝EMI ビクター
■平成17年7月5日  出ました!

 

 日本フォークダンス連盟が,東芝レコード(東芝EMI)の「フォークダンス・シリーズ」として,世界の民族音楽=フォークダンスの名曲シリーズを制作開始したのは,1980年(昭和55年)の4月に遡ります。私こと松山祐士はその第一回目から携わって参りまして,このほどシリーズ38集目の作品が発売される事になりました。

 第一作の頃の制作プロデューサーは,ビクターレコード出身のフリー・プランナーとして有名な,伊藤玲子女史でした。録音時には連盟のスタッフと共に,必ず大声を発しながら踊った上で周囲の気分をほぐしつつ,音楽確認をされていた彼女の事が思い出されます。

 "Time Flies" の諺どおり,いつの間にか25年も経過したことになります。その間,一回も休むことなく,継続しての音楽作りに勤しんで来られましたのも,日本フォークダンス連盟の諸先生方や東芝EMIの関係スタッフの方々のご支援の賜物と,深く感謝し,皆様に御礼を申し上げます。

 現在のプロデューサーは,作・編曲家として一世を風靡した高田弘氏のご子息,高田浩希氏で,東芝の中でも,まさに脂の乗りかかった気鋭のプロフェッショナルとして,今後が益ます期待されている方です。

 第38集には,ハンガリー,オーストリア,スイス,フランス,ウルグアイ,アメリカ,スコットランドの7地域の音楽と振り付けが収録されておりますが,今回も吹奏楽で有名な作曲家森田一浩先生とともに,各国の文化の香りを楽しむ事が出来ました。

 これら世界の民族音楽は,今日的電子音を排除した伝統的なアコースティック・サウンドのなかにも,近代の歩みが感じられるような,ダンスのみならず鑑賞用としても癒しの糧になり,充分にお寛ぎ頂ける作品群になったかと自負しています。

CD みんなでおどろう   
フォークダンス 民族音楽 CD 森田一浩 高田弘 伊藤玲子 高田浩希 ハンガリー スコットランド フォークダンス 民族音楽 CD 森田一浩 高田弘 伊藤玲子 高田浩希 ハンガリー スコットランド 東芝EMI ビクター

ピアノ・デュオ モーツァルト アダムス シューベルト 2台 ピアノ ミュンヘン コンクール リサイタル フレージング ピアノ・デュオ モーツァルト アダムス シューベルト 2台 ピアノ ミュンヘン コンクール リサイタル フレージング
■平成17年6月30日  聴いて来ました!

 「濱本 愛 & 山崎 裕 ピアノ・デュオ・リサイタル」
  ―2005年6月26日(日)15:00開演 東京・松尾ホール―

 各種のピアノ演奏会は,毎週のように都内のどこかで多数開催されていますが,このリサイタルでは久しぶりに珍しく音楽を楽しめ,爽やかな趣きを感じさせる出色の出来映えに快感を覚えました。

 若い二人のコンビの演奏は,内容的にも技術的にも,未完成の部分が多々見受けられましたが,それを凌駕して余りある,清純さとパワーとが前面に出て来ていた事が,好感を導いてくれたのかも知れません。

 曲目は

  1. モーツァルト:2台のピアノのためのソナタ ニ長調 K448
  2. ラフマニノフ:組曲第1番「幻想的絵画」作品5
  3. J. アダムス:ハレルヤ・ジャンクション
  4. シューベルト:ロンド イ長調 D.951 (連弾)
  5. ラフマニノフ:組曲第2番 作品17

 各曲とも,その個性の演出に,相当弾き込んだ様子が汲み取れましたが,共通した特色は,それぞれが持つ楽句(フレージング)を,現時点での力量と解釈力で,かなり踏み込んで表現していた事,また各作曲家の音作りの特徴が,一般通念を払拭しない範囲での音色において何処まで追究出来るかというテーマを提示していた事にあると思えました。

 ラフマニノフの2曲は,作曲された当時の社会的な時代背景(帝政ロシアと近代アメリカ黎明期の対比)や,作者の心理状態等を,かなり研究した跡がうかがわれました。もう少し整理する余地も感じられましたが。

 J. アダムスでは,今の若い二人の心境によくマッチした内容を表現していましたが,モーツァルトにおいては,どこのコンサートでも感じる一般的な印象から脱せないところが目につきました。

 出色であったのはシューベルト(この曲のみ連弾)で,何回もくり返されるテーマの表現が,日本語のイントネーションから脱却し,グローバルな水準の響きを追求していた事に,深い感動さえ覚えました。付点の解釈(特にシューベルトの最末期作品)では,日本人でもこれ程のパースペクティヴを表現しうる可能性を残しているものだという,再確認をさせて頂きました。

 また別の意味合いから,このデュオのチームが,3,4曲目を除き暗譜で演奏していた事を,敢えて賞賛したいと思います。それから,次回はホールのキャパシティを考慮することも,大事な準備の一つだと思います。

 8月には,彼らはドイツで開催されるデュオ・コンクールに出場されると伺いました。当地でも,演奏のための演奏ではなく,音楽のための,自分たちの納得した演奏が実現されることを,期待と共に切望したいものです。

リサイタル
ピアノ・デュオ モーツァルト アダムス シューベルト 2台 ピアノ ミュンヘン コンクール リサイタル フレージング ピアノ・デュオ モーツァルト アダムス シューベルト 2台 ピアノ ミュンヘン コンクール リサイタル フレージング

ジャズ体操 ジャズダンス 指導者連盟 JJGTO 香港 シニア 一般体操 筋肉運動 社会体育 荒井和子 ガンダム博物館 ジャズ体操 ジャズダンス 指導者連盟 JJGTO 香港 シニア 一般体操 筋肉運動 社会体育 荒井和子 ガンダム
■平成17年6月30日  出掛けて来ました!

 「日本ジャズ体操指導者連盟 2005年度夏季発表会」
  ―6月25日(土)12:00〜15:30 川崎市とどろきアリーナ―


 「日本ジャズ体操指導者連盟(JJGTO/会長:荒井和子氏)」は,社会体育・学校体育の指導者の任意団体で,一般体操指導者としての資質向上と,ジャズ体操の研究・普及とを目的として発足,以来25年を迎えました。その作品発表会が,上記のとおり開催されました。

 当日のプログラムは,全24作品で構成され,児童・成人・シニア会員を含め,出場人数は延べ七百五十余名にのぼりました。その熱気は一般客席にも,多数駆けつけた出演者の家族にも,外の気温同様あたたかく伝わっていました。

 参加者には,10才未満から70才後半まで,幅広い年代層が見受けられ,世代と技倆に合わせた演技内容は,パターンに偏りすぎないで,健康と心の交流とを第一目的とした団体ならではの,なかなか充実した構成となっていました。

 中でも成人クラスの有志が,五月末に香港(中国)で披露した作品の再演を行いましたが,この団体の特色の一つである,力づよい筋肉運動の持続と,ヒューマン・ペーソス溢れるその連続運動は圧巻で,観衆にもその汗の心地よさが直接伝わるような,見事な好演と映りました。

 団体の目的・方針とする考え方が,より広くより楽しく,より好意的に伝播・普及されんことを切に望んでいます。


川崎市とどろきアリーナ   
ジャズ体操 ジャズダンス 指導者連盟 JJGTO 香港 シニア 一般体操 筋肉運動 社会体育 荒井和子 ガンダム博物館 ジャズ体操 ジャズダンス 指導者連盟 JJGTO 香港 シニア 一般体操 筋肉運動 社会体育 荒井和子 ガンダム

町田 リズム運動 伊藤啓子 桂離宮 板付き 墨絵 世界体操祭 集団演技 ダイナミズム コスチューム 振り付け 町田 リズム運動 伊藤啓子 桂離宮 板付き 墨絵 世界体操祭 集団演技 ダイナミズム コスチューム 振り付け
平成17年5月某日  記念誌「輝き」寄稿

 「静」なるダイナミズム
  ―町田市リズム運動サークル創立20周年記念に寄せて―

 
 エイシンメトリー(左右非対称)な隊形の板付きから始まる「町田市リズム運動サークル」の演技には,時として一幅の墨絵に煙る「桂離宮」の「静」の佇まいと,落ちついた大人のダイナミズムとを連想させる作品が多く,体操の集団演技の領域を超越した所に位置している事に,常づね敬服して居ります。

 熟慮を重ねた上での演技主題,コスチューム,手具,そして選曲等に基づいた然り気無い振付には,演技の奥深さが吐露されています。特に主題(テーマ)の持つオリジナリティ(独創性)は,地域・世代・将来への展望を孕むコンセプチュアル・アートとして結実され,結果としてその題材は,自然や伝統文化,日本人特有の繊細な感情表現であり,それらが冒頭に述べたような手法で表現されている所に,芸術性を感じます。

 二十年に亘るその活動が,日本国内のみならず国際的にも高い評価を受け,03年の第12回世界体操祭ポルトガル大会に於いては,日本選手団特別招待チームとして,全世界に向けての演技披露という栄光を手にしました。

 町田サークルの代表チームとは,過去十年間で,ヨーロッパ諸国,オセアニア地域,アジア諸国など多地域の体操祭に,私は一人の作曲家として御一緒致しましたが,その間,このサークルに於ける本質的な演技目的の一部を学ばさせて頂きました。

 それは,共に「汗をかく」仲間たちとの人間関係と,その基盤となる心・身の健康,生活のリズム等を最重要課題としている点です。その具体例が「シニア・クラス」の育成であり,サークル全体の運営・管理等の観点からみても特筆すべき事象かと思います。

 代表の伊藤啓子先生が唱える「無理をしないで,楽しみながら汗をかきましょう」を実践し,立派な作品群を残されているサークルのすべての皆様に,心からの喝采を惜しみません。


タイ王国の旅  
町田 リズム運動 伊藤啓子 桂離宮 板付き 墨絵 世界体操祭 集団演技 ダイナミズム コスチューム 振り付け 町田 リズム運動 伊藤啓子 桂離宮 板付き 墨絵 世界体操祭 集団演技 ダイナミズム コスチューム 振り付け
コープランド ガンダム ハイジ ピアノ デュオ ラフマニノフ ガーシュイン

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