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2007年版
R I ジャパン 国際難民奉仕会 モーツァルト室内管弦楽団 R I ジャパン 国際難民奉仕会 モーツァルト室内管弦楽団
■平成18年12月21日  季節ですね〜ぇ



 毎年12月に入ると,世間一般では,忘年会シーズンとかで,私の事務所のあるJR高田馬場駅周辺でも,各年代のさまざまの方がたが,それらしい雰囲気を漂わせていて,もう少したつと,これにケーキ売りの威勢の良い掛け声が,独特のハーモニーを演じる事となるわけです。

 こんな折,我が音楽界でも,連日のごとく,どこかのホールでの,さまざまなコンサートが催されます。そんな中,私にとって大変珍しく,また貴重な体験をしたミュージック・コンサートを御紹介したく思います。


○第18回「難民の子供たちに光を」

2006年12月5日(火)12:00〜14:00
東京駅丸の内オアゾ 1階OO広場
主催/R. I. ジャパン(国際難民奉仕会)
協力/童謡塾「はにほへと」

 東京駅丸の内側北口から,徒歩で数十歩のところにある,オアゾと言われる新しいビルの1階に,こんな空間があるの?といった感じのビジネス街の中のオアシスとも言えるスクエアの特設ステージから,まさに天使のコーラスを彷彿させる,美しいハーモニーが流れ出していました。

 曲目は「赤とんぼ」「花嫁人形」等のスタンダード曲から始まり,新作童謡「アヴェ・マリア=グノー」「アメージング・グレース」等が続き,この時季の定番であるクリスマス・ソングの数かず,最後は名曲「故郷」でまとめた爽やかな曲が並んでいて,丁度通りかかった多くのサラリーマンの方がたも,思わず一緒に口ずさんでいた姿が,非常に印象に残りました。

 出演したのは,たいらいさお,稲村なおこ,渡辺かおり,女声合唱のエルフェ,ラ・メール等,童謡を大事に歌い続けている華やかなメンバーが,生のピアノ伴奏で表現していました。

 善意の奉仕団体が主催する,美しいコンサートでした。



○モーツァルト室内管弦楽団(第43回定期演奏会)

2006年12月10日(日)
14:00 開演
日本橋公会堂4階ホール

 モーツァルト室内管弦楽団は,1972年,国内のモーツァルトの音楽愛好家が集って設立したアマチュア・オーケストラですが,毎年2回の定演や,ドイツを始めとする海外演奏会,国内でのコンサートを継続している,ユニークな演奏団体です。
 今回は,指揮を斎藤純一郎氏,ピアノ独奏・渡辺純子氏をゲストに迎え,モーツァルト・イヤーの今年最後の月を飾るべく,オール・モーツァルトのプログラムにしたとの事でした。

 曲目は

  1. パントマイム「レ・プティ・リアン」のためのバレエ音楽 K. V. Anh. 10

  2. ピアノ協奏曲第22番 変ホ長調 K. V. 482

  3. 交響曲第40番 ト短調 K. V. 550


 この種の演奏会に登場するのは大変珍しい,「K. V. Amh. 10」は,全体の中の7曲が披露され,普段なかなか聴けないモーツァルトの曲として,大変興味深く感じました。

 ピアニストの渡辺氏は井口愛子門下から桐朋学園ピアノ科を卒業,オーストリア政府,ウィーン・ベーゼンドルファー社から奨学金を得て,ザルツブルグ・モーツァルテウム音楽大学卒され,欧州・日本国内で演奏活動をされている方です。

 この作曲家独特の世界を描く技量は流石に達者で,特にペダルの使い方に,非凡なものを発揮されていたのが特筆ものでした。40番は,モーツァルト自身が加筆した”クラリネット・ヴァージョン”の版で,このオーケストラの特性をよく考慮した力演を楽しみました。

 アンコール・ナンバーも「モーツァルトのマーチ(トルコ・マーチに非ず)」と徹底していました。ほぼ満席(約500)のオーディエンスも,帰途につく段に,ニコニコした微笑がこぼれていて,アット・ホームな感じを共感できた満足感がよく表れていたと思います。




R.I.ジャパン(国際難民奉仕会) モーツァルト室内管弦楽団 
R I ジャパン 国際難民奉仕会 モーツァルト室内管弦楽団 R I ジャパン 国際難民奉仕会 モーツァルト室内管弦楽団

町田市リズム運動サークル 伊藤啓子 戸倉ハル 町田市リズム運動サークル 伊藤啓子 戸倉ハル
■平成18年12月6日  二つの体操祭を観て



 毎年,秋から冬にかけてのこの季節,各地でいろいろな発表会が開催されています。音楽ばかりではなく,健康に係わる,こんなに多くの種類の会合が開かれている事は,文化事業に携わる一人として,なかなか素晴らしい現象かと感じています。

 最近,初めて覗いて見た珍しいものに,「みんなで童謡をうたいましょう」(シビックセンター)と言う主旨の会(これが大盛会)や,「小学生のための,全国マーチング・バンド大会」(幕張メッセ)等々,通常では考えもしなかった場所や各世代で,それぞれが精一杯の自己主張をされている姿に,驚きと感動を覚えました。

 その様な中で,私の本業である自作の曲に関係する,大きな二つの「体操祭」を観る機会に恵まれ,都心から若干離れてはいますが,両者とも意義深い伝統ある発表会を満喫して来ました。


○第38回体操祭 -2006-
   NITTAIDAI GYMNASTICS CLUB'S PERFORMANCE FESTIVAL
11月24日(金)19:00〜
於:横浜文化体育館
日本体育大学/日本体育大学女子短期大学部:体操部
指導/荒木達雄:日本体育大学教授

 当日はJR各線の事故による,通勤時と重なった大混乱もありましたが,無事定刻通り開催され,オープニングから始まり,No.20 のフィナーレに至るまで,通常の体操祭とは思えぬ,華やかなプログラムが繰り広げられました。

 総合司会が,同校O.B.でロサンゼルス・オリンピック('84)のゴールド・メダリスト森末慎二氏で,軽妙な話術と歌で,ユニークな演目をうまくリードしていたのが目を引きます。と言うのは,20演目中,純粋に体操としてのパーツは7演目で,全体的に見た場合,やや控え目な感じは否めない所でした。

 それに比べ,東京女子体育大学・新体操競技部をはじめとするゲスト陣のパフォーマンスは,歌舞伎”立廻り”,津軽三味線ユニット,ラッパー,ジャズ・シンガー,ポップス・シンガー,ソプラノ歌手等々,ちょっとしたポップス・ミュージック・コンサートの感があり,その間に地元横浜のチルドレン・グループ(南体操クラブ),おなじみの人気チームのおーるどボーイズ,全日本選手権6連覇の新体操選手/村田由香里氏の演技と盛りだくさんでした。ホール内の照明機能を駆使したライティングなど,様々なパーツの要素はとも角,体操部の部員のはつらつとした美しい演技は今年も健在であった事と,大きな事故が見受けられなかった事に安堵を覚え,来期以降の学生諸君の更なる飛躍を期待して帰途につきました。
 

-------------------------- ◆ ◆ --------------------------
 
○まちだ体操祭 '06
  ”うごいて楽しむ,みて楽しむ。”
12月2日(土)14:00〜
  於:町田市立総合体育館メイン・アリーナ
  主催:町田市リズム運動サークル
  総合プロデュース・指導/伊藤啓子

    
 この体操祭も毎年,町田教育委員会,町田市健康福祉部健康課の支援を得て,町田市近郊の学校・社会体育グループが参加している大会で,今年は27演目が発表されました。

 指導者の伊藤啓子先生を中心とする町田市リズム運動サークルがコアになって,20有余年の歴史を誇る立派な活動は,今年も一段と充実した内容になっていました。

 この体操祭のモットーとしているところは,決して無理をしない精神にあると,つねづね伺っていますが,言葉通りの実践となると,また別の問題が生じるのも当然で,そのバランスを保持,履行するとなると,並大抵の努力では維持できかねることと思われます。
 
 プログラムは,4歳児から6年生までが一緒に動くヒップ・ホップ,男子小学生によるテコンドーの蹴技,女子高校生による創作ダンス,養生太極功,平均年令60?歳以上のはつらつとした,各シニア・グループのリズム体操,特にこの会でのレギュラーとも言える車椅子の人も一緒に楽しむダンス「一人ひとりがオンリー・ワン」等々と続きました。あらゆる年令層を対象とし,しかも必ずしも健常者でない人びとにも門戸を開いている大会である事に,大いなる意義を感じます。

 またこの大会の白眉は,日本女子大学,お茶の水女子大学所助教授でもあり,幼児教育者,また童謡の作品も数多く残されている,戸倉ハル先生振り付けの作品を復刻した一連の発表であり,これは女性の基本運動を再認識する上で,大きな意義を持つ内容の演技でした。
 
 ゲストとして招かれた日本体育大学体操部100有余名による模範演技が,会場の雰囲気を一段と盛り上げていたことも,この大会の主旨にマッチした素晴らしいシーンでした。




  
町田市リズム運動サークル 伊藤啓子 戸倉ハル 町田市リズム運動サークル 伊藤啓子 戸倉ハル

モーツァルト 幻想曲 平尾はるな 深沢亮子 モーツァルト 幻想曲 平尾はるな 深沢亮子 モーツァルト 幻想曲 平尾はるな 深沢亮子
■平成18年12月4日  K.475 と K.397 の幻想曲(ファンタジー)の響き



 モーツァルトの短調による2つの幻想曲(ファンタジー)を,期せずして2日に渡って2人の女流ピアニストの演奏で聴くチャンスに恵まれました。


○平尾はるな ピアノ・リサイタル 2006
   (デビュー四十周年記念リサイタルに感謝をこめて・・・)

    2006年11月23日(木)/14:00 東京文化会館・小ホール


・モーツァルト :ファンタジー ハ短調 K.475
:ソナタ ハ短調 K.457
:アダージョ ロ短調 K.540
・ショパン :ノクターン ロ短調 作品32-1
:ノクターン 嬰ヘ長調 作品15-1
・プーランク :子象ババールの物語
     (語り/エストレリッタ・ワッセルマン)


 日本における近代音楽作品のパイオニアの一人として著名な作曲家である平尾貴四男氏を父に,長いフランス滞在から多くを吸収した日本人ばなれしたピアニスト平尾妙子氏を母にもつ,フランスもの,特にプーランクの演奏に独特の境地を開いた平尾はるな氏も,デビュー以来,早くも40年が経過したとのことで,感慨も一段と強く覚えました。

 と言うのも,私の大学時代,母親である妙子先生にピアノを指導して頂いていた関係で,自宅レッスンに通っていた頃,たしか中学生のはるなさんにお目にかかった時代から存じているので,今日のリサイタルに至る足跡一覧が掲載されているプログラムに目を通すと,私自身の音楽生活を振り返っているような錯覚を感じました。
 
 彼女の演奏については,学生時代の同期のピアニストである杉谷昭子氏とも意見が一致したのですが,日本人には珍しい個性的な演奏家である事,前述のプーランクに関しては,独自の世界を保持している点,好みは別として,大家の一人であろうと思います。

 モーツァルトは,彼女にしては珍しく軽快で,ソナタ,アダージョ,更にショパンのナンバーに,一つの流れをうまくまとめていた点,四十周年の年輪が感じられ,大病を患った後,何か一皮むけた内容を表現されているようでした。

 プーランクは,絵本を題材とした一種の組曲ですが,教養の無い私にはせっかくの美しいフランス語も,プログラムにある日本語ガイド(平尾はるな訳)を暗い客席で小さな文字を追う事で精一杯になっていました。



○深澤亮子ピアノ・リサイタル
 (RYOKO FUKASAWA)
 2006年11年25日(土)/14:00
    日比谷マリンビル・松尾楽器ホール


・モーツァルト ファンタジー ニ短調 K.397
・ベートーヴェン :ピアノ・ソナタ ハ長調 Op.53「ワルトシュタイン」
助川敏弥 :三つの易しい小曲 1971
  1. 風
  2. May
  3. 夏のおわり

・シューベルト :楽興の時 D.780 Op.94
  1. ハ長調
  2. ヘ短調
:即興曲 D.935 Op.142
  1. 変イ長調
  2. 変ロ長調
  3. ヘ短調
※アンコール  :エリーゼのために(ベートーヴェン)


 深澤亮子氏も,バブル時代の頃は,日本を代表するピアニストの一人として全国的に脚光を浴びた大家ですが,私とは約10年くらい以前に,ある出版物を手がけたことがあります。何回か田園調布のご自宅にお伺いした折,雪かきをしたり,リンゴの皮をむいて下さったりした時のイメージは,ステージ上の風格とはまるで別人のようで,その素晴らしいパーソナリティに接して以来,一人のファンとして尊敬しています。

 彼女の自伝が出版されていますが,その本にも記されている通り,ドイツ古典派・ロマン派に関しては定評ある方なので,今回のミニ・リサイタルに於ても,彼女の独壇場の演奏を心地よく楽しんで参りました。

 特に今回はベートーヴェン・サークルの河野浩一郎氏が,なかなか張り切ってバック・ステージを盛り立てていた様子で,一般の方にフォーカスを当てた楽しい演奏で,前々日に聴いたモーツァルトの幻想曲と作品も勿論別ではありますが,両者の表現の仕方で全く別の世界が構築されていた事が非常に印象に残りました。

 蛇足ですが,全く別の仕事で偶然この双方の楽譜をいじくっている最中だったこともあり,グーゼンがグーゼンを呼ぶと言う事がある事を改めてモーツァルトに感謝しています。





  深沢亮子公式サイト  
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■平成18年10月12日  なつかしの「地球SOS」の初版本!



 去る10月7日(土),日本郵政公社資料館で開催された「ぼくらの小松崎茂展」を観賞して来ました。

 今までにも,何回か開かれている同展や,ミニ・ミュージアムには行っていますが,今回は,原画や多くの特別出品などが揃い,同氏の偉大さを充分に反映した一級の展示会でした。

 同氏の原画類は,再度にわたる失火により,多くの作品が焼失したと聞いていますが,今回,個人の所有作品がかなり多く出品されており,日本画時代のもの,戦前の作品,そして「大平原児」「地球SOS」等々の雑誌と原画とを比較も出来るという,ファンにはこたえられない作品展でした。






ていぱーく(逓信総合博物館) http://www.teipark.jp/  

  ガンダム博物館・別室「小松崎茂の世界」  
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■平成18年10月12日  龍勢まつり(農民ロケット大会)を観て!



 この秋有数の,快晴の碧空に恵まれた去る10月8日(日),埼玉県秩父市吉田町で催された「龍勢まつり」に気の置けない仲間たち6人で,泊りがけの行程で行って来ました。

 何年かぶりの奥秩父は,道路事情が大変改善されて,東京から日帰りも出来るほど便利になりました。荒川上流の自然美あふれる美しい山やまの里は,人情味も厚い,リゾート地帯に変貌していました。

 「龍勢」とは「農民ロケット」とも称される,手づくりのロケットのことで,太い松の木をくり抜いた胴体に,火薬,パラシュート,から傘等を詰めこんで,木と竹で作られた高い発射台から白煙を巻き起こしながら天空に打ち上げる,その姿が龍の昇天の姿にダブったとされています。

 吉田町の椋大社に伝わる神事の一つということで,15分おきに打ち上げる「龍勢」は,四百年以上の歴史を持つ素晴らしい民芸文化であり,神社への奉納という形をとってきました。

 この日,県知事,市長等のお歴れきの他に,タイ王国からも数名来賓がお見えになっていました。同国でも同様の催しがあるとの事で,視察を兼ねて楽しんでいられました。

 強風のあおりで,打ち上げが度たび中断されましたが,うまく成功した打ち上げの時の快感は,地元の方がたのみならず,我われツアー客にとっても何とも言えぬ爽快な気分で,地元料理とアルコールの味が一段と良いキャラクターを演じてくれた一日でした。

 地元青年団の皆みな様のサーヴィスに,心から感謝致します。





※写真はこちらのサイト↓
http://tsukuba.utari.net/
より借用させて頂きました。



宇宙に魅せられた山の民  
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■平成18年10月12日  杉谷昭子さん


 杉谷昭子 第6回 べートーヴェン:ピアノ・ソナタ全曲演奏会

2006年10月1日(日)16:00
浜離宮 朝日ホール

  プログラム
 
   ピアノ・ソナタ 第24番 嬰ヘ長調 作品78「テレ―ゼ」
   ピアノ・ソナタ 第25番 ト長調 作品79「カッコウ」
   ピアノ・ソナタ 第27番 ホ短調 作品90
   ピアノ・ソナタ 第26番 変ホ長調 作品81a「告別」


 杉谷昭子氏が弾くベートーヴェンは,女流演奏家としては定評のある所で,彼女はドイツ(自宅:デュッセルドルフ市)を中心に,世界各地で継続的に演奏会を開いています。
 当日のプログラムに,旧知の河原氏の一文が載っておりましたので,それを引用します。
 

 

    
杉谷昭子さんへの手紙

                     音楽評論家 河原 亨

     杉谷昭子は,まっすぐに作品に向かうことのできる演奏家で
    す。その演奏には,あらゆる経験と洞察力によってもたらされ
    たイマジネーションを消化してにじみ出てくる,杉谷昭子の人
    間性が反映されています。彼女の弾くベートーヴェンに,私は
    深い共感を覚えます。「たった2,3小節」の音の中に,もう音
    楽のあふれるような心が伝わってくるような演奏,そういう稲
    妻のような瞬間瞬間のひらめきを聴き取った時くらいしあわせ
    な気持ちに満たされることはありません。たしかに日本のピア
    ニストは上手くなったと思います。テクニックも表現力もあり,
    ステージでの演奏姿も立派になりました。
     しかし,そこからのステップがなにかしら乏しい。そこで満
    足してしまっているのか,それともそれで善しとしてしまって
    いるのか?そこに深くて豊かな川が横たわっているのに気付く
    人は,意外に少ないようです。それはもう技術や表現力ではな
    し得ない,それを越えた精神世界,大げさに言えば哲学的な世
    界を含むものだと思います。仕事柄いろいろなピアニストの演
    奏会を聴きますが,その時にいつも思うのはこのことで,その
    演奏家の心のありようなのです。私が杉谷昭子というピアニス
    トの演奏をいつも称賛するのは,杉谷昭子の演奏がいつでも私
    のそんな期待に応えてくれるからです

 




 2006-10-1  私は,彼女のこのシリーズと,もう一つのシリーズ「ベートーヴェン・ピアノ曲全作品連続演奏会」の殆どを聴かせて頂いていますが,毎回,彼女の人生観や演奏家としての生き方,考え方の一端を知るうえで,興味をそそられる熱演を楽しんでいます。ベートーヴェン・サークル会長の河野浩一郎氏のご尽力に深謝申し上げます。

 この種の作品のCDの紹介や,ブログなどを見ることが可能なので,下記の彼女の公式ページを是非ご覧下さい。
 杉谷昭子ホーム・ページ  
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■平成18年10月12日  また出ちゃいました



 9月23日(土)・24日(日)の両日,国立代々木競技場第一体育館で開催された,日本体育協会主催による「2006日本体操祭」に,フィットネス・クラブ(体操の任意団体)H.G.G.(ハー・ゲー・ゲー)の一員として出場致しました。

 今年のプログラムには,競技性を有しない体操祭には珍しく,「コンテスト」のコーナーが実験的に設定されていたので,内容はともかく,アジアの体操関係者が十数ヶ国からも参集して,なかなかの活況を呈していました。

 「健康づくり」を指標として,毎年全国からのグループが出場し,約4分間の制限時間の中で,様ざまな演技を発表するわけですが,競技(優劣を競う)性がないため,出場者は乳児(そのための母子体操)から始まり,平均年齢60歳代後半というグループまで,人数も最少の3名から130余名のグループまで,2日間で延べ104団体が,それぞれの特性を生かした自由で多彩な演技を発表していました。

 私たちのグループは,平均すると高齢者の部類に入りますが,実践女子大学教授の春山文子先生の指導で,運動機能の活性化を促進するステップ運動と,非常災害時における反射神経のトレーニング(防災頭巾の着用)を織り込んだ,内容の充実した演目になっていました。

 日頃の運動不足と加齢から来る運動能力の低下を痛感しながらの演技で,グループのメンバーの足を引っ張らないよう,柄にもなく緊張しましたが,広いひろい体育館のフロアで,リラックスと楽しさを感じることが出来ました。春山先生をはじめ,グループの皆様に心からの謝意を申し上げます。

 早速,体操協会の役員の先生からメールが送られて来たのでご紹介します。

>
> 日本体操祭での疲れはもう取れましたでしょうか?
> 今年のH.G.G.は,先生の仰っていた通り気合いが入っていましたね。
> 動きも多く,隊形移動までしっかりとこなさなければならなかったの
> で,練習も大変だったと思います。お疲れ様でした。
> 筑波大学名誉教授,音楽制作会社社長,ビデオ制作会社社長と,錚々
> たるメンバーの体操をみられて,毎年幸せだと思っております。
> 今後も是非続けていただきたいと思っております。
>
>

2006-9-24
演技終了直後の一コマ
 撮影:安仲由佳(津軽三味線☆あんみ通)




 日本体操協会ホーム・ページ あんみ通 Official Website 
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■平成18年10月5日  杉並児童合唱団定期演奏会



 いささか旧聞にはなりますが,9月16日(土)武蔵野市民文化会館大ホール(18:00〜)で開催された,杉並児童合唱団定期演奏会 No.42 を鑑賞して来ました。

 同合唱団との交流は,指揮の志水隆先生が,まだ桃井小学校で教鞭をとられていた頃からで,各種録音や学校教材の仕事,また発表会など,随分長くお世話になっています。

 プログラムに載っている「ごあいさつ」には,志水先生ご自身の筆により,杉児の特色あるバック・グラウンドが述べられています。

 「(前略)・・・
  最近子どもが巻き込まれる暗いニュース報道が続いております。
  このような世相の中,杉児の団員は楽しいレッスンで,
  歌は勿論のこと,心も明るくのびのび成長しております。
  今年の夏期合宿も定演のステージ作りを目的に
  楽しい共同生活を過ごしてきました。
  杉児の楽しい中にも厳しさのある共同生活は他の集団では経験できない
  貴重な体験で団員の心の成長に大きな糧となっております。
  本日のステージは合宿の成果であります。 ・・・(後略)」

 今年のメンバーには二才児(男子)を含めた年少児が多く,その年代にふさわしいユーモラスなアクションを拝見できました。言うまでもなく杉児独特の見せるコーラスに,立派なパフォーマンスが挿入され,高学年のメンバーが自然な形でリードしている演奏は,歌唱力で並外れた力量を有するうえに,行進,ダンス,ドラマの演技を含めたその総合力こそ,恒例の「杉並ミュージカル」を支える原動力となっていることを理解させるものでした。


 内容は四部構成で,


  第1部 クラシック・アラカルト

     1. 四 季(ヴィヴァルディ)
     2. 白鳥の湖より(チャイコフスキー)
       ・ナポリターナ
       ・小さな白鳥たちの踊り
     3. アルルの女より(ビゼー)
       ・ファランドール


  第2部 たのしいうたいっぱい

     1. 歌えバンバン
     2. はたけのポルカ
     3. ママごめんなさい
     4. 空を見上げて
     5. くもとこおろぎ
     6. 花咲く木かげで
     7. チリビリビン
     8. わんぱくマーチ
     9. たのしいショティッシュ
     10. 地球を七回半まわれ


  第3部 杉並ポピュラー

     1. 野生のえるざ
     2. モ ア
     3. 幸せの黄色いリボン
     4. スマイル
     5. 涙色の微笑み
     6. エデンの東
     7. 80日間世界一周
     8. 雨にぬれても
     9. アイ・リメンバー・イエスタディ


  第4部 杉並ミュージカル「ながぐつねこ」

    中山知子 作詞 / 越部信義 作曲


 今回の杉並ミュージカルは,いわゆる名作物であることと,作曲がヴェテランの越部信義氏の作品であったことで,メンバーの保護者,家族達にもすんなりと受け入れられ,美しいコーラスの響きが非常な説得力を発揮して近来まれな印象を与えたことに,感銘致しました。

 当日のVTR,CD(過去のものも含めて)も発売されているので,参考までにご高覧下さい。
     





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■平成18年9月22日  体操学会でのレクチャー



 今年の夏は猛暑と低温がくり返され,体調の維持に腐心された方も,数多くいらした事と思います。

 ところで,この9月9日名古屋芸術大学で開催された「日本体操学会 第6回大会」に,発足以来のメンバーでもある関係者の一人として,例年にない重責を負いながら出席して参りました。
 今回の学会で主目的にしている「楽しく動く」の具体的な研究の基調講演に続く,キーノート・レクチャーを担当したわけです。
 全国から参集した体育・体操の専門家の前で,前記のテーマで話すわけですから,私は音楽家としての立場で,「歩く=行進」という人間の動作の基本的部分で,音楽と人間の行動の相関関係をレクチャー致しました。

 音楽家として,オーディエンスに一番理解して頂く道は,音楽の実例とそれらを実写した映像を提供し,私なりの解釈と理論を述べることだと考えました。一応,欧州・アメリカ・アフリカ・アジア・南太平洋にかけて,可能な範囲での普遍性と歴史観を盛り込んだつもりです。
 


 当日のレジュメの一部をご紹介します。
  


>
>
> 音楽におけるタイム (Time),スピード (Speed),リズム (Rhythm) について
>
>
>                                     作曲家 松山 祐士 
>
>
> キーワード:タイム,スピード,リズム
>
> ◆序 (Overture)
>  今日の一般的日常生活における,音楽を含むさまざまな音響現象の中で,音楽の持つ基本的な要素
> (特質)の時間(Tempo)と音楽,運動(Rhythm)と音楽との関連を軸に概説する。その際,音楽の
> 本源的な定義と派生・発展から見た場合,ある意味で典型的な指標を提示していると思われる,さまざ
> まなマーチ(行進曲)を通して本論の考察を進めたい。
>
>
> ◆第1楽章「マーチは,なぜ120bpm( M.M. ? =120 )が多いのか?」
> ◆第2楽章「音楽(マーチ)における実践的な時間概念(Tempo=速度のコンセプト)について」
>  ・マーチ:March[英],Marcia[伊],Marsch[独],Marche[仏],行進曲[中・日]の定義
>  ・マーチの歴史 ・使用目的 ・速度基準の必要性とメトロノームの出現 
>    ・120bpmとは限らない各国の規定とその背景
>  ・多種多様の行進曲とその分類の契機(動機)
>   1.「軍隊行進曲」黎明期の日本の行進曲を含む,世界の軍楽隊のマーチとテンポ。
>   2.「凱旋行進曲」120bpmを基準とした場合,ほぼ同じテンポか,やや遅め。
>   3.「祝典行進曲」感情表現の要素が入る分,基準よりもやや遅めのテンポ。
>   4.「戴冠行進曲」威厳と権威性が前面に出て来る特性で,その分やや遅めのテンポ。
>   5.「結婚行進曲」ニュー・カップルに焦点を当てるため,一般的にはやや遅め。
>   6.「葬送行進曲」感情や雰囲気を最優先で表現。当然遅いテンポ。「聖者の行進」は例外。
>   7.「鑑賞用行進曲」実用曲ではない分,自由なテンポ。器楽曲や舞踊曲など多種多様。
>   8.「運動会用行進曲」テンポの正確性を第一義に制作される分,用途・目的の多様性。
>
> ◆第3楽章「音楽が動きに与える影響 −リズム− 」
>  拍節スピードと同様,音楽の時間性と不可分の関係にある,リズム(Rhythm)という概念。ただし,
> サンバ(Samba),ボサ・ノヴァ(Bossa nova),レゲエ(Reggae)等々のリズム名は,それぞれ際立っ
> た特徴を有するリズム型を想起させ指示するための固有名称であり,上位にあるリズムという概念その
> ものではない。プラトンの韻律の定義や,表現性または芸術性に深く関わるリュシ(M. Lussy)の「リ
> ズム論」中に,明確に述べられている一文がある。
>  「リズムが悪いとは,区切りが悪く,アクセントづけが悪いことである。・・・よく表現する
>   ためには,したがって,何よりもよくリズム化することを学ばねばならない。・・・」
>  メロディの中の動きに,一定の秩序を持った強弱感があり,音(音符)の長さやビート(拍)にも共通
> 要素が存在する実例およびアナリーゼ,サンプルの紹介。
>
> ◆第4楽章「音楽と動きの関わり(アート=表現)について」
>  ・歩行様式の比較・対照 ・形態の変化 ・民族学的な発想点の相違
>
> ◆むすび「マーチはなぜ120bpmが多いのか」に対する総括的推論と研究の展望。
>   1. 数値的根拠
>   2. 身体的根拠
>   3. 演奏特性による逆説的根拠
>   4. 実際的根拠
>   5. 経験を踏まえた方法論的根拠
>


 お蔭を持ちまして,暖かい拍手と好評を頂戴しましたので,代表的なものの一つとして,大会組織委員長から頂いたE.メールを引用させて頂きます。



>
> 松山先生、
>       三重大学の○○です。
> この度は日本体操学会第6回大会におきまして、素晴らしい御講演を頂きまして、誠に有難うございま
> した。大変、有意義な時間を過ごすことができました。心から感謝を申し上げます。
>
> 会場、施設設備等、必ずしも先生にご満足いただける状態ではなかった点、先生に甘えてしまった点な
> ど多々あり大変申し訳なかったと反省しております。しかし、先生の御講演そのものに対しては、たくさ
> んの参加者の方々から「大変、面白かった」「勉強になった」「もっとお聞きしたかった」と言う声が寄
> せられ、先生にご無理をお願いして良かったと、思っております。
> 音楽の持つ力は偉大で、動きに与える影響も大変大きいものです。今回、専門家でいらっしゃる松山先生
> に、マーチを題材にして音と動きの関係について、聴覚と視覚の両方から、選りすぐった実例を交えての
> 説得力あるお話をしていただき、新しい知見を示していただきました。また、マツケンサンバに至っては、
> 最初にメロディだけで聴いたときは、皆さん何の曲か分からなかったようで、私も先生からレジュメを頂
> いてなかったら、全く分かりませんでした。リズムの持つ力を改めて実感いたしました。
>
> 大変お忙しいところを、アシスタントの方まで御同行いただき、本大会のためにお力添えいただきました
> こと、重ねて御礼申し上げます。本当に有難うございました。
>
> メールでは大変失礼かと存じますが、取り急ぎ、御礼申し上げます。
>
> まだまだ天候不順の折、先生におかれましては、くれぐれも御自愛くださいますようお願い申し上げます。
>
>


 それにしても,聞きしに勝る名古屋の暑さ,東京が涼しい後だったのか,あるいは台風の直前だったのか,帰途の新幹線の中では,用意して行った上着を着用してしまいました。





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角笛シルエット劇場 有楽町マリオン DOYO組 やべせいこ そがみまこ 影絵 クックちゃん つのぶえ 角笛シルエット劇場 有楽町マリオン DOYO組 やべせいこ そがみまこ 影絵 クックちゃん つのぶえ
■平成18年7月29日  角笛シルエット劇場 有楽町マリオン公演



 昨年秋から約半年の準備期間をおき,この春から実際の制作にかかり始めた劇団「角笛」シルエット劇場の,4日間(2006年7月22〜7月25日,東京有楽町マリオン)の公演に携わりました。いろいろの支援市や関係者,劇団OBやOGのあたたかいご支援もあり,無事成功裡のもとに終了致しました。
 約35年にわたり「角笛」の仕事に参加しておりますが,今日のような社会情勢の中で,よくぞ公演を維持されている,劇団の皆みな様に厚く御礼とお祝いの言葉を申し上げたく思います。

企画・制作 白石武士 本年度のプログラムは,

 1. りゅうとびわ・・・恐ろしい竜から命をかけて村を救った
            琵琶法師の物語
 2. つのぶえのうた・・クックちゃんと楽しい歌のおさんぽ!
            うたと影絵のファンタジー
 3. 赤ずきん・・・・・たいへん! おおかみが かわいい
            赤ずきんちゃんを待ちうけています!

 の3本立てで,会場一杯に拡がる元気な子供たちの歌声と歓声を聞くと,「あァ,今年もやった甲斐があったなァ!」の満足感で胸が一杯になる想いでした。
 本編の内容については,角笛のホームページに詳しく出ておりますので,一度のぞいてみて頂きたく思います。
 社会が激変し,生活様式や考え方において,その格差が顕著に現れる風潮も見受けられますが,日本人が古来から大切に受け継いだ文化と心の優しさを,改めて考え直す良い機会となりました。



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みんなでおどろう フォークダンス 森田一浩 若松正司 伊藤玲子 ルーマニア イスラエル フォークダンス 森田一浩 若松正司 ルーマニア イスラエル
■平成18年7月4日  シリーズ第39集!



 この6月28日,日本フォークダンス連盟監修・解説によるCDアルバム「みんなでおどろう〈39〉」が発売されました。今年度の作品(別表)にもスタッフとして参加させて頂いた事に,深い感慨を覚えます。録音したのは,今年の4月上旬です。前回までの高田浩希氏に代わり,藤坂裕一氏がプロデュースをされています。

   曲名/国名/編曲者

 1. オピンカ OPINCA/ルーマニア/松山祐士
 2. マーガレッツ・ワルツ MAGRET'S WALTZ/イギリス/松山祐士
 3. バウエルン・ヴァルツァー BAUERN WALZER/オーストリア/森田一浩
 4. ミューレンポルカ MÜHLENPOLKA/北ドイツ/森田一浩
 5. フォールヤールマズルカ VOORJAARSMAZURKA/オランダ/森田一浩
 6. ラ・マズルカ・アンティグア LA MAZURKA ANTIGUA/プエルトリコ/松山祐士
 7. ベ・ダビッド VE DAVID/イスラエル/若松正司

 このシリーズ,つまり東芝EMI制作による「みんなでおどろう〈1〉」は,調べてみますと昭和56(1981)年が最初に録音・発表された時で,それは実に遡ること25年前であります。前にも触れましたが,私は第1回の参加以来〈39〉集までこの楽しい作業を継続させて頂いております。
 因みに,その第1回目で私の担当したのは,

 1. マニトウ(アメリカ)
 2. ミニュエット(フランス)
 3. シボレス・バサダ(イスラエル)
 4. ラウンドレイ・コントラ(アメリカ)

 の4曲で,当時のスタッフとして,業界の重鎮・伊藤玲子プロデューサーや,大御所・若松正司氏が先頭に立っておられた事が懐かしく感じられます。
 以降,世界中のフォーク・ダンス・ミュージックを手掛けて来ましたが,聞いた事もないような民族楽器名や奏法に出くわすたび,手探りの中を演奏家とともに格闘するという音作りでした。
 最近では,シンセサイザーを補助楽器として,何とか原曲の雰囲気を再現しやすくなりましたが,当初の十年近くは,日本で一人だけというような演奏者,楽器保有者,リズムの表現者等を探し出すのに,大変苦労した事を楽しく想い出します。
 デジタル時代に入って録音方法が飛躍的に向上し,また演奏家自体のテクニックの格段の進歩と相俟って,今年の第〈39〉集では,相当ローカル色の強い作品群が充実した内容で表現できたと自負しています。フォーク・ダンス・ミュージックという枠を飛び出し,民族音楽の“癒しヴァージョン”として,聴くに値する素晴らしいアコースティック・サウンドをお楽しみ頂けたらと思っております。



フォーク・ダンスCD   
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灰田勝彦 晴彦 有紀彦 中野忠晴 久保田宵二 マルクス兄弟 灰田勝彦 晴彦 有紀彦 中野忠晴 久保田宵二 マルクス兄弟
■平成18年3月25日  第6回 ハワイアンSPレコード・コンサート

              
日 時:平成18年3月4日 16:00〜 
出 演:伊藤篤志(九州,中国・四国ハワイアン協会会長),白石 信 ほか
 於 :東京・赤坂 ココミュージックスタジオ
主 催:ココミュージックスタジオ



 恒例の,蓄音機で聴くハワイアンSPレコード・コンサートもいつの間にか回を重ね,もう第6回目の開催となりました。多くのマジメな好事家が,また顔を揃えました。

 今回のプログラムは,これまでも幾度か登場した,灰田勝彦を大きくフューチャーしての企画でした。灰田勝彦といえば,「新雪」「燦めく星座」そして戦後の「野球小僧」など懐メロ流行歌もお馴染みですが,大学在学中から兄・晴彦の率いるハワイアン・バンド“モアナ・グリークラブ”のヴォーカリストとして活躍していた人です。あの「爽やかな歌声」は紛れもなく一世を風靡し, それが彼の代名詞のようになっている常套句でもありますが,今回聴いた「プアオケアロハ」(演奏:灰田晴彦とニューモアナ)における,白石氏もご指摘の「裏声のシャープさ」は,蓄音機を通してでも―或いは通してこそ―見事に伝わり,持って生まれた才能の業を再認識するに充分足るものでした。

 「南の唄」から「こりやさの音頭」まで彼の歌唱7曲を堪能した後は,美空ひばり,白鳥みづえの唄うモダンなハワイアンを楽しみました。いずれも占領期を了えて間もなく(昭和28年頃)のレコードです。
 
 そこへ突如,昭和12年に戦意昂揚のため作られたと思われる,「皇軍万歳」という中野忠晴の歌が飛び出しました。中野は同年発表,久保田宵二作詞・服部良一作曲の「山寺の和尚さん」で有名な,日本の音楽界に新風を吹き込んだ一人ですが,ここではあの「タフワフワイ」(ウクレレ漫談でも使われたが,最もトラディショナルなハワイアンの一つ)を原曲にして,
 
  丘の向ふは乱戦だ/真つ只中に飛び込んで/俺はひと汗かいて来る
  /ホイ 後はお前に頼んだぞ//命捧げた兵(つはもの)が/高く
  日の丸靡かせて/勇気凛凛往くところ/揚がる凱歌だ勝鬨だ・・・
                  (作詞はやはり久保田宵二)
    
といった,ラップの走りのような,リズミックなセリフ箇所を含む勇ましい歌を録音していました。今はややもするとコミカルに聞こえてしまいがちですが,制作の真意や,当時の我が国民の心のあり方については,自分自身で静かに想像を巡らす以外にありません。そのレコードの片面は「死線を越えて」だったそうです。

 コンサートの後半では,またガラリと趣向が変わり,あのマルクス兄弟の長男チコが,お得意のピアノで「バリバリの浜辺」を演奏している音源を聴くことが出来ました。アメリカ映画「マルクス一番乗り」の中でのシーンです。この映画が作られたのも1937年(昭和12)でありました。

 この集いは私にとって,単に古いレコードをよすがに往時を懐かしむだけでなく,前世紀の人びとが,どんな事をモダンと考え,どんな事に情趣を感じて娯楽を見出していたか,ということを探る良い機会となっています。それは我々が何を取り込んで来たかと同時に,何に取り込まれて来たかという,不可逆な歴史の歩みの一断面でもあるという気がしております。
 
 毎回DJを務めている伊藤篤志氏は,ご自分の膨大なSPコレクションの保存のため,熊本に優れた施設をお建てになる計画をお持ちです。上述の観点からも,さまざまな方が熱烈な関心を寄せられることを,願ってやみません。


森の小径/鈴懸の径/マウイ・ワルツ ウクレレでうたうハワイアン名曲集   
灰田勝彦 晴彦 有紀彦 中野忠晴 久保田宵二 マルクス兄弟 灰田勝彦 晴彦 有紀彦 中野忠晴 久保田宵二 マルクス兄弟

河野浩一郎 杉谷昭子 ベートーヴェン ドレスラーの行進曲 ワルトシュタイン
■平成18年2月13日  第9回 ベートーヴェン・ピアノ独奏曲 連続演奏会

              
ピアノ:杉谷昭子
           平成18年2月11日(土)
                  14:00〜
東京・板橋NHホール

 べートーヴェンの研究家で,ベートーヴェン・サークルの主宰者でもある河野浩一郎氏が開催されている,ベートーヴェン・ピアノ独奏曲連続演奏会も,今回で9回目を迎えました。

 ベートーヴェンには,32曲のピアノ・ソナタをはじめ,約110曲のピアノ(初期のクラヴィア時代を含む)独奏曲が残されているといわれていますが,河野氏によると,この連続演奏会は「110曲の各作品を,ベートーヴェンが完成させた順に並べ替えて,13回で演奏完了になるようにプログラム」されているものの一環との事です。

 第1回は,一昨年にスタートし,最初の演奏曲が1782年(当時12歳)作曲の「ドレスラーの行進曲による9つの変奏曲ハ短調」であったと記憶しています。

 少年期から晩年に至るまでの全作品を,時系列で演奏・鑑賞する事により「新たな価値判断の一助として享受して行こう」というのがこの会の主旨でもあるので,私も可能な限り毎回出席させて頂いています。

 今回のプログラムは

  1. バガテル ハ長調 Wo056 (2分)
  2. ピアノ・ソナタ 作品26「葬送」の第2楽章 (2分)
  3. ピアノ・ソナタ 作品53「ワルトシュタイン」 (27分)
  4. アンダンテ・ファボリ ヘ長調 Wo057 (9分)
  5. ピアノ・ソナタ 作品54 ヘ長調 (12分)
  6. ピアノ・ソナタ 作品57 「熱情」(26分)
     ( )の分数は杉谷女史における,おおよその演奏時間。

 各楽曲ともに,一般的な参考資料ではあまりお目に掛かれないエピソードや,曲の成立に関わる諸もろの事象,演奏解説など,マニアならずとも興味ある内容を伴った,良心的なコンサートのひとときを過ごすことが出来ました。

 あと4回のコンサートの中で,どんな人生ドラマに出会えるか,楽しみにしております。


ベートーヴェン・サークル 
ソーラン節 全力少年 レイラ・スターリング・ユナ・イトー 河野浩一郎 杉谷昭子 ベートーヴェン ドレスラーの行進曲 ワルトシュタイン

ソーラン節 レイラ・スターリング・ユナ・イトー スキマスイッチ ナナ ソーラン節 全力少年 ENDLESS STORY レイラ・スターリング・ユナ・イトー
■平成18年2月2日  ビッグ・ヒット・マーチ



 先日(1月31日から2月1日にかけて),東芝EMIで発売している恒例のCD「ビッグ・ヒット・マーチ」シリーズ2006年版の録音を済ませました。

 私が編曲を担当したマーチは,「ソーラン・ディスコ」「全力少年」「ENDLESS STORY」の3曲です。

 今年のシリーズも,行進用のための仕立てで編曲したわけですが,同時に運動会やフォーク・ダンスその他のレクリエーションのBGMに転用できるよう,いろいろの可能性を考慮し,さらに鑑賞用にもなる内容として,スタジオ録音ならではの編成で作りました。

 「ソーラン・ディスコ」(テンポ120)は,このシリーズのためのオリジナル・ヴァージョンで,よさこいソーラン節をベースに,北海道・高知県のみならず,全国的に展開されているグループ・ムーヴメント用にヴァージョン・アップさせました。和楽器と,シンセシザーを始めとする洋楽器との,調和のとれたアンサンブルが聴きどころです。

 「全力少年」(テンポ126)は,キーボードとギターの異色の男性コンビ,スキマスイッチのヒット・ソングで,タイトルからも推察できるように,若い世代から圧倒的に支持されているスキマ的なエネルギッシュなムードを,管楽器中心で軽快に演奏しています。

 「ENDLESS STORY」(テンポ126)は,映画「NA NA -ナナ-」の劇中歌となった Dawn Ann Thomas のバラード作品(唄:レイラ・スターリング・ユナ・イトー)を原曲に,本編では何と行進用テンポのリズムにしてみました。ヒントにしたのは,その昔のグレン・ミラー楽団の「セント・ルイス・ブルース」で,本来であれば5本のサックス群で演奏したかったのが編曲者としての希望でした。しかし実際は,クラリネットとテナー・サックスでそれなりのムードは感じさせるサウンドにしたつもりです。

 この4月には一般に発売されるとの確証を,東芝EMI・STのプロデューサー森真理子氏から得ることができました。


ビッグ・ヒット・マーチ   
ソーラン節 全力少年 レイラ・スターリング・ユナ・イトー スキマスイッチ ナナ 全力少年 ENDLESS STORY スキマスイッチ

ホテル・ニューオータニ 大庭照子 日本国際童謡館 DOYO組 安田祥子 ホテル・ニューオータニ 大庭照子 日本国際童謡館 DOYO組 安田祥子
■平成18年1月18日  サーラ・デ・ケイ感謝コンサート


  平成18年(2006年)1月14日(土)13:30〜
  ホテル・ニューオータニ 悠の間
  出 演:大庭照子(NPO法人日本国際童謡館館長)
      童謡デュオ DOYO組(矢部清子・そがみまこ)

 「NHKみんなのうた」で「小さな木の実」を発表した,童謡およびシャンソン歌手でもある大庭照子氏が主宰した,サロン・コンサートに行って参りました。氏の実姉である亡き大塚径子氏の色彩が色濃く出ていたのが目をひきました。
 
 大庭氏は,ライフ・ワークとされている,新しい童謡の発掘と普及,そして世界に誇るべき日本の童謡文化について,熱弁されていました。
 
 出演者全員による名曲と季節の童謡,また彼女の人生観に繋がるシャンソンの名曲と日本歌曲などが,実姉にまつわる生い立ちの話などを交えて繰り広げられ,中味の濃い1時間半を過ごしました。
 
 会場には多くの関係者に交じって,新進の童謡作家や,歌手としての安田祥子(さちこ)氏の姿も見受けられました。


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ホテル・ニューオータニ 大庭照子 日本国際童謡館 DOYO組 安田祥子 ホテル・ニューオータニ 大庭照子 日本国際童謡館 DOYO組 安田祥子

ヨハン・シュトラウス 志水 隆 武蔵野市民文化会館 中山知子 杉並児童合唱団 ヨハン・シュトラウス 志水 隆 武蔵野市民文化会館 中山知子 杉並児童合唱団
■平成18年1月18日  杉児ニュー・イヤー・コンサートを聴く


  2006年1月7日(土)17:30〜
  武蔵野市民文化会館大ホール
    指揮 志水 隆
    伴奏 津嶋 麻子

 プログラム
  1. ヨハン・シュトラウス名曲集
     ラデツキー・マーチ(太陽のマーチ)他全3曲
  2. アンデルセン組曲
     1974年第10回定期演奏会初演 
  3. 冬のうたアラカルト
     雪,白銀は招くよ 他全15曲
  4. 杉並ミュージカル
     「くつやと小びと」作詞 中山 知子 作曲 増本伎共子
     1972年第8回定期演奏会初演 

 いつもながら,歯切れの良いテンポとリズムの杉並児童合唱団のさわやかな歌声が,新春の武蔵野の森大ホールに響き渡りました。

 昨年秋,9月23日の第41回定期演奏から,わずか3ヶ月余りしか経過していないのに,これだけのプログラムを消化し,それなりの成果を見せているところに,この児童合唱団の歴史と伝統,それを支える底力を垣間見る,いや,垣間聴かせて頂きました。

 正月明け直前と言うことで,演奏メンバーはもとより,保護者・関係者の方々の調整も,一方ならぬものであったと敬服致します。

 演目の芯になる曲は,過去に取り上げられた作品とはいえ,児童合唱団と言う特殊な集団の中で,一応の同歩調のまとまりを感じさせたのは,流石,志水・津嶋両先生のご指導が,一貫した方向性を保持されている成果だと思います。

 曲の中には,少々習熟度に乱れが生じた所も見受けられましたが,杉児の出来としては,ご愛嬌と言った所でしょう。

 「くつやと小びと」は,30余年前の作品でしたが,定演で発表される近作にはない,密度の濃さと,わかりやすさ,楽しさの中の表現内容と言った点で,合唱ミュージカルの原典を感じさせました。なかなかの佳作。

 劇中のヴァイオリン・ソロ,コスチューム,振付を,2階客席後部で身を乗り出して楽しんでいられた作詞の中山知子氏の姿が,印象に残りました。


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ヨハン・シュトラウス 志水 隆 武蔵野市民文化会館 中山知子 杉並児童合唱団 ヨハン・シュトラウス 志水 隆 武蔵野市民文化会館 中山知子 杉並児童合唱団

新年の挨拶 ガンダム ハイジ 巨人の星 松山祐士 アタック 新年の挨拶 ガンダム ハイジ 巨人の星 松山祐士 アタック
■平成18年1月1日  謹賀新年



 謹んで初春のお慶びを申し上げます。
 皆様におかれては,希望に溢れた清々しい新年をお迎えのことと思います。

 昨年5月には,第2回アジア世界体操祭が,香港で開催されました。「保健・栄養・体操と音楽の旅」のページにも記載致しましたが,私はそこで,あるグループの一員として体操の実演をして参りました。バックの音楽を作っていればよい側の私も,あのような国際的な場において,競技や見世物ではなく,老若男女が楽しく取り組める「一般体操」という概念の具体化,普及化に一役果たし得たならば幸いに思います。

 少子・高齢化の進行は,楽団,劇団,合唱団あるいは音楽教室等,業界の身近なところにも,かなり著しい影響をもたらしていると,つとに見聞きしております。量の問題が質の世界を直撃する,その分だけ事態は深刻であると言わざるを得ません。

 実は「平成の歌謡曲」という楽譜集を上梓したばかりなのですが,ものの良し悪しはもちろん別にして,新しい才能が育ち,広がり,人々の記憶に残ってゆくという歌のサイクルは,すでにもう実体の希薄な,どこか架空のものに完全に遷移してしまったとの感を強く抱きました。ここにも,我々の時代は物心両面における,有形無形の変化・変質を被っているという証左が現れています。

 しかしなお,大きな意味での世代間の連続性,回帰性は未だ確固として息づいている事も,音楽の分野を通じて実感致します。悲観するばかりでなく,転換期に立たされた者の責任において,真に次代に引き継ぐべきものを見据えて行きたいと,常々考えております。

 どうぞ本年も宜しくお願い申し上げます。

 平成18年 元 旦

株式会社パイン・プロデュース
松 山 祐 士  




 明けましておめでとうござます!
 世の中色々な「騒ぎ」がありましたが,私どもは今年もあくまで地道。
 それでも企画編集から制作販売まで,日々多様な業務に勤しんで参ります。

 因みに今年は,「■■■が綴った愛の詩(メロディ)」「■の日に贈る■■■・ベスト」
「■■■の■■■■教本」「復刻・現代■■入門」(16字伏字)等々の,多種多彩,荒唐
無稽(?),支離滅裂(!?)な新刊企画が目白押しです。乞うご期待!
 皆様,本年も変わらぬご愛顧のほど,何卒宜しくお願い申し上げます。
*** スタッフ一同 ***


平成の歌謡曲   
新年の挨拶 ガンダム ハイジ 巨人の星 松山祐士 アタック 新年の挨拶 ガンダム ハイジ 巨人の星 松山祐士 アタック


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